【1級土木施工管理技士 第一次検定】鋼構造物・コンクリート構造物のよく出る問題と徹底解説【2026年度版】

【1級土木施工管理技士 第一次検定】鋼構造物・コンクリート構造物のよく出る問題と徹底解説【2026年度版】
  • URLをコピーしました!

鋼構造物・コンクリート構造物の分野は、1級土木施工管理技士 第一次検定のなかでも材料・施工・維持管理にまたがる重要分野です。鋼材では引張強さ・降伏点といった機械的性質や溶接・高力ボルト接合の基礎、防食の方法が、コンクリート構造物では中性化・塩害・凍害・アルカリシリカ反応(ASR)といった劣化機構と、その補修・補強工法が繰り返し問われます。出題は「正しいもの/誤っているものはどれか」を選ぶ四肢択一が中心で、用語の定義と原理を正確に押さえているかが合否を分けます。本記事では、本試験の頻出テーマに沿ったオリジナル予想問題6問と徹底解説で、得点源にできるよう整理します。

目次

頻出テーマ早わかり

分類主要論点押さえる要点
鋼材の性質応力ひずみ曲線・降伏点・引張強さ・じん性弾性域→降伏→ひずみ硬化→破断の挙動、低温・切欠きで脆性破壊しやすい
溶接開先(グルーブ)溶接・すみ肉溶接・溶接欠陥余盛・のど厚・脚長、ブローホール/アンダーカット/割れ等の欠陥
高力ボルト接合摩擦接合・引張接合・支圧接合摩擦接合は摩擦力で力を伝達、すべり係数・締付け管理が重要
防食塗装・溶融亜鉛めっき・耐候性鋼・電気防食めっきは犠牲防食、耐候性鋼は緻密なさびで保護膜を形成
劣化機構中性化・塩害・凍害・ASR・化学的侵食・疲労鉄筋腐食を招く中性化・塩害が頻出、ASRはアルカリと反応性骨材
補修・補強断面修復・表面被覆・ひび割れ注入・増厚・連続繊維補強劣化要因の遮断(水・酸素・塩分)と耐力回復の使い分け

予想問題(オリジナル四肢択一)

問1:鋼材の機械的性質

鋼材の機械的性質に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 軟鋼の引張試験では、弾性域を超えると応力がほとんど増えずにひずみが進む降伏点が現れる。
  • (2) 引張強さは、試験片が耐えられる最大荷重を元の断面積で除した値である。
  • (3) じん性とは、外力に対して脆く割れやすい性質をいい、じん性が高いほど脆性破壊を起こしやすい。
  • (4) 鋼材は低温になるほど、また切欠きがあるほど、脆性的に破壊しやすくなる傾向がある。

正解:(3)

解説:(3)が誤りです。じん性(靱性)とは、材料が破断するまでに大きな変形や衝撃エネルギーを吸収できる「粘り強さ」を表す性質で、じん性が高いほど急激な脆性破壊を起こしにくくなります。記述は「脆性」と意味が逆になっています。(1)は正しく、軟鋼(低炭素鋼)では明確な上降伏点・下降伏点が現れ、降伏棚を示します。(2)も正しく、引張強さ(最大引張応力)は最大荷重を当初の断面積で除して求めます。(4)も正しく、鋼材は低温・切欠き(応力集中)・高ひずみ速度といった条件が重なると延性が低下し、脆性破壊を生じやすくなります。これは溶接構造物の脆性破壊対策(適切な鋼種選定)でも重要な視点です。

問2:溶接接合

鋼構造物の溶接に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • (1) すみ肉溶接の強度計算に用いる「のど厚」は、脚長そのものの寸法と等しい。
  • (2) アンダーカットは、溶接金属内部に生じる球状の空洞であり、外観では確認できない欠陥である。
  • (3) 開先(グルーブ)溶接は、母材に開先を設けて溶接金属を充填する方法で、突合せ継手に用いられる。
  • (4) 溶接の余盛は大きいほど疲労強度が高まるため、できるだけ高く盛ることが望ましい。

正解:(3)

解説:(3)が正しい記述です。開先溶接は母材の端部にV形・X形などの開先(グルーブ)を加工し、そこに溶接金属を盛って一体化させる方法で、主に突合せ継手で用いられます。(1)は誤りで、すみ肉溶接ののど厚は脚長と等しくなく、一般に直角すみ肉溶接ではのど厚は脚長より小さくなります(理論のど厚は脚長におよそ0.7を乗じた値が用いられます)。(2)は誤りで、溶接金属内部に生じる球状の空洞は「ブローホール(気孔)」です。アンダーカットは溶接止端部(ビード縁)に沿って母材が掘られて生じる溝状の欠陥で、応力集中の原因となります。(4)は誤りで、余盛が過大だと止端部の形状が急変して応力集中が大きくなり、むしろ疲労強度の低下を招きます。余盛は適切な範囲に仕上げることが重要です。

問3:高力ボルト接合

高力ボルトによる接合に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 摩擦接合は、ボルトを強く締め付けて生じる部材接触面の摩擦力によって応力を伝達する。
  • (2) 摩擦接合では、接触面のすべり係数を確保するため、接合面の黒皮(ミルスケール)や油・浮きさびなどを適切に処理する必要がある。
  • (3) ボルトの締付け力(軸力)の管理方法には、トルク法やナット回転法などがある。
  • (4) 摩擦接合では、ボルト軸部のせん断と孔壁の支圧によって応力を伝達するため、接触面の状態は接合性能に影響しない。

正解:(4)

解説:(4)が誤りです。高力ボルト摩擦接合は、ボルトに大きな軸力(締付け力)を導入し、その軸力で部材を圧着して生じる「接触面の摩擦力」によって応力を伝達する方式です。したがって接触面の状態(すべり係数)が接合性能を直接左右します。「ボルト軸部のせん断と孔壁の支圧で力を伝達する」のは支圧接合の説明であり、摩擦接合とは異なります。(1)は摩擦接合の原理として正しい記述です。(2)も正しく、所定のすべり係数を確保するため、接合面の黒皮・油・浮きさび・塗料などを除去・処理し、規定の表面状態に整えることが求められます。(3)も正しく、軸力管理にはトルク法(トルクレンチ等で締付けトルクを管理)やナット回転法(一次締め後の回転角で管理)などがあります。締付け管理は摩擦接合の品質確保の要点です。

問4:鋼材の防食

鋼材の防食に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 塗装は、塗膜によって鋼材表面を水や酸素から遮断して腐食を防ぐ方法で、定期的な塗替えが必要となる。
  • (2) 溶融亜鉛めっきは、鋼材表面に亜鉛被膜を形成し、亜鉛が鋼より先に腐食することで鋼を保護する犠牲防食の効果ももつ。
  • (3) 耐候性鋼は、表面に緻密で安定したさび層を形成させ、これを保護膜として腐食の進行を抑える鋼材である。
  • (4) 電気防食は、鋼材を陽極(アノード)として積極的に腐食させることで、構造物全体を保護する方法である。

正解:(4)

解説:(4)が誤りです。電気防食は、防食したい鋼材を「陰極(カソード)」側にして腐食反応を抑える方法です。代表的な流電陽極方式(犠牲陽極方式)では、鋼より腐食しやすい金属(亜鉛・アルミニウムなど)を陽極として接続し、その陽極が優先的に溶解することで鋼材の腐食を抑制します。「鋼材を陽極として積極的に腐食させる」という記述は逆です。(1)は正しく、塗装は遮断(バリア)による防食で、経年劣化に応じて塗替えが必要です。(2)も正しく、溶融亜鉛めっきは被膜による遮断効果に加え、傷などで鋼が露出しても亜鉛が先に溶けて鋼を守る犠牲防食作用があります。(3)も正しく、耐候性鋼は適切な環境下で緻密な保護性さびを形成し、無塗装での使用も可能ですが、塩分の多い飛来塩分環境などでは効果が得られにくい点に注意が必要です。

問5:コンクリート構造物の劣化機構

コンクリート構造物の劣化機構に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 中性化は、空気中の二酸化炭素の作用でコンクリートのアルカリ性が低下し、鉄筋の不動態被膜が失われて腐食しやすくなる現象である。
  • (2) 塩害は、塩化物イオンによって鉄筋の腐食が促進され、鉄筋の体積膨張によりコンクリートのひび割れやはく離を生じる現象である。
  • (3) アルカリシリカ反応(ASR)は、反応性骨材とコンクリート中のアルカリが反応して生成物が吸水膨張し、ひび割れを生じる現象である。
  • (4) 凍害は、コンクリート中の水分が凍結融解を繰り返しても体積変化が生じないため、表面の劣化は起こらない現象である。

正解:(4)

解説:(4)が誤りです。凍害は、コンクリート中の水分が凍結する際に体積膨張し、凍結と融解を繰り返すことで内部に引張応力が生じ、表面のスケーリング(はく離)やひび割れ、ポップアウトなどの劣化を引き起こす現象です。「体積変化が生じず劣化しない」という記述は誤りです。寒冷地ではAE剤などにより適切な空気量を確保し、凍結融解抵抗性を高めることが対策となります。(1)は正しく、中性化が進んで鉄筋位置までアルカリ性が低下すると、鉄筋表面の不動態被膜が破壊され、水と酸素の供給下で腐食が進行します。(2)も正しく、塩害は塩化物イオンが鉄筋腐食を促進し、さびの体積膨張がかぶりコンクリートのひび割れ・はく離を招きます。(3)も正しく、ASRは反応性のある骨材とアルカリが反応してできた生成物が吸水膨張し、特有の亀甲状ひび割れなどを生じます。

問6:コンクリート構造物の補修・補強

コンクリート構造物の補修・補強工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) ひび割れ注入工法は、ひび割れにエポキシ樹脂などを注入し、水や劣化因子の侵入経路を遮断する補修工法である。
  • (2) 断面修復工法は、劣化・損傷して欠損した部分をはつり取り、断面修復材で埋め戻して断面を回復させる工法である。
  • (3) 表面被覆工法は、コンクリート表面を被覆材で覆い、二酸化炭素・水・塩化物イオンなどの劣化因子の侵入を抑える工法である。
  • (4) 連続繊維シート接着工法は、部材表面にシートを接着して耐力を高める補強工法であるが、曲げ・せん断耐力の向上には全く寄与しない。

正解:(4)

解説:(4)が誤りです。連続繊維シート(炭素繊維・アラミド繊維など)接着工法は、部材表面に高強度の繊維シートを接着・一体化させることで、曲げ耐力やせん断耐力、柱のじん性などを向上させる代表的な補強工法です。「耐力向上に全く寄与しない」という記述は誤りです。軽量で施工性がよく、断面寸法をほとんど増やさずに補強できる利点があります。(1)は正しく、ひび割れ注入は微細なひび割れに低粘度の樹脂等を注入して充填・遮断する補修です。(2)も正しく、断面修復は劣化部・腐食部をはつり取り、修復材で断面を復元する工法で、塩害・中性化による劣化部の処理に用いられます。(3)も正しく、表面被覆は劣化因子の侵入抑制(予防・進行抑制)を目的とした工法です。補修・補強は「劣化要因の遮断」と「耐力の回復・向上」という目的を整理して使い分けることが重要です。

暗記ポイント・まとめ表

溶接欠陥の種類

欠陥内容
ブローホール(気孔)溶接金属内部に生じる球状の空洞。ガスの巻き込みなどが原因。
アンダーカットビード止端に沿って母材が掘られた溝状の欠陥。応力集中の原因。
割れ(クラック)溶接部・熱影響部に生じる亀裂。最も重大な欠陥の一つ。
スラグ巻込みスラグ(不純物)が溶接金属内に残留する欠陥。
オーバーラップ溶融金属が母材に融合せず、止端に覆いかぶさる欠陥。

高力ボルト接合の分類

接合方法力の伝達機構
摩擦接合ボルト軸力で圧着した接触面の摩擦力で伝達(最も一般的)
引張接合ボルト軸方向の引張力で伝達
支圧接合ボルト軸部のせん断と孔壁の支圧で伝達

コンクリートの主な劣化機構と要因

劣化機構主因主な現象
中性化二酸化炭素アルカリ性低下→鉄筋腐食
塩害塩化物イオン鉄筋腐食促進→ひび割れ・はく離
凍害水分の凍結融解スケーリング・ポップアウト・ひび割れ
アルカリシリカ反応(ASR)反応性骨材+アルカリ生成物の吸水膨張→亀甲状ひび割れ
化学的侵食酸・硫酸塩などセメント水和物の溶解・劣化
疲労繰返し荷重ひび割れの進展・耐力低下

※具体的な数値・基準(かぶり厚さ、許容塩化物量、すべり係数の規定値、締付け軸力など)は、最新の法令・示方書・仕様書(コンクリート標準示方書、道路橋示方書、各種JIS等)でご確認ください。

図解:コンクリートの劣化機構と補修・補強の対応

劣化要因と対策の関係劣化因子の侵入水・酸素・CO2・塩分劣化の進行鉄筋腐食・膨張・ひび割れ耐力・耐久性低下遮断・予防(劣化因子を抑える)・表面被覆工法・ひび割れ注入工法・断面修復工法(劣化部除去)補強(耐力を回復・向上)・連続繊維シート接着工法・増厚工法・鋼板接着工法 など目的を「遮断・予防」か「耐力回復・向上」かで整理すると選びやすい

まとめ

鋼構造物・コンクリート構造物の分野は、用語の定義と原理を正確に理解していれば確実に得点できる頻出領域です。鋼材では機械的性質(降伏点・引張強さ・じん性)と脆性破壊の条件、溶接の欠陥名と意味、高力ボルト接合の3方式(特に摩擦接合の原理)、防食方法の特徴を整理しておきましょう。コンクリートでは中性化・塩害・凍害・ASRといった劣化機構の主因と現象を結びつけ、補修・補強工法は「劣化因子の遮断・予防」と「耐力の回復・向上」という目的別に押さえると、選択肢の正誤を判断しやすくなります。本記事の予想問題で問われ方の感覚をつかみ、紛らわしい用語の入れ替え(じん性と脆性、ブローホールとアンダーカット、摩擦接合と支圧接合、陽極と陰極など)に注意して、確実な得点源にしてください。なお、具体的な数値・基準値は必ず最新の法令・示方書でご確認ください。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次