1級土木施工管理技士 第一次検定の「施工計画・建設機械・仮設」は、施工管理法の中核をなす分野で、毎年安定して出題される重要テーマです。とくに施工計画の立案手順、仮設備の設計(任意仮設と指定仮設の違い)、建設機械の作業能力(時間当たり作業量)の計算、そして原価管理の考え方は繰り返し問われます。計算問題は公式を「式の意味」とセットで覚えると応用が利き、用語問題は分類と相互の関係を表で整理しておくと取りこぼしが減ります。この記事ではオリジナルの予想問題6問と徹底解説で、合格に直結する得点力を養います。
頻出テーマ早わかり
まずはこの分野で押さえるべき主要論点と要点を整理します。学習の地図として活用してください。
| テーマ | 要点・覚えどころ |
|---|---|
| 施工計画の立案 | 事前調査→基本計画→詳細計画の流れ。過去の実績や経験のみに頼らず、新工法も比較検討する。複数案を立案して比較する。 |
| 仮設備計画 | 任意仮設(請負者の裁量・創意工夫の余地が大きい)と指定仮設(設計図書で指定)の区別。直接仮設と間接仮設の分類。安全・経済性のバランス。 |
| 建設機械の選定 | 工事条件(土質・運搬距離・地形・規模)に適合させる。機械の組合せ(システム)で律速作業に能力を合わせる。 |
| 機械の作業能力 | 時間当たり作業量Q=f(バケット容量・作業効率・サイクルタイム等)。土量換算係数(地山・ほぐし・締固め)に注意。 |
| 原価管理 | 施工速度を上げると間接費は減るが直接費は増える。両者の和が最小になる経済速度(最適工期)の考え方。実行予算と原価の差異分析。 |
| 工程・原価・品質の関係 | 三者はトレードオフ。施工速度と原価、工程と品質の相関を理解する。 |
予想問題(オリジナル四肢択一)全6問
本試験の出題形式に沿った、現実的な難易度のオリジナル問題です。まず自力で解いてから解説を読み、根拠まで理解しましょう。
問1:施工計画の立案
施工計画の立案に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) 施工計画は、過去の経験や実績を重視しつつも、それのみにとらわれず、新しい工法や技術についても比較検討する。
- (2) 施工計画は、一つの最良案にしぼって立案し、ほかの代替案は検討しないことが望ましい。
- (3) 施工計画の検討は、現場担当者だけでなく、できるだけ会社全体の組織を活用して幅広い知識・技術を結集して行う。
- (4) 施工計画の立案にあたっては、発注者から示された工期が最適とは限らないため、より経済的な工程も検討する。
正解:(2)
解説:施工計画は、最初から一つの案にしぼるのではなく、できるだけ複数の代替案を立案し、それぞれの工期・安全性・経済性などを比較検討したうえで最適案を選定するのが基本です。したがって(2)が適当でありません。
(1)は正しい記述です。過去の経験・実績は重要な判断材料ですが、それのみに固執すると技術革新を取り込めず、コスト・品質の改善機会を逃します。新工法・新技術も含めて比較する姿勢が求められます。
(3)も正しい内容です。施工計画は担当者個人の判断に依存せず、社内の関係部署や専門技術者の知見を結集して総合的に検討すべきものです。
(4)も正しい記述です。発注者が示す工期は必ずしも最経済の工期とは限らないため、施工者は別途、より合理的・経済的な施工方法や工程を検討することが望まれます。
問2:仮設備計画(任意仮設・指定仮設)
仮設備に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
- (1) 指定仮設は、設計図書でその構造や仕様が指定されており、施工者が自由に変更・工夫できる範囲が任意仮設に比べて小さい。
- (2) 任意仮設は、設計図書で構造・寸法がすべて指定されるため、施工者の創意工夫を反映させる余地はほとんどない。
- (3) 仮設備は本工事完成後には撤去されるものなので、安全性や強度は本工事ほど考慮する必要はない。
- (4) 工事用道路や仮締切りなどの直接仮設は、工事の目的物そのものを構成する設備である。
正解:(1)
解説:指定仮設は、設計図書(仕様書・図面)でその構造・規模・仕様が指定されている仮設備で、施工者が自由に変更できる範囲が限られます。一方の任意仮設は、目的を満たせば施工者の裁量・創意工夫で構造や工法を選べる余地が大きいのが特徴です。したがって(1)が適当です。
(2)は任意仮設と指定仮設の説明が逆になっており誤りです。構造・寸法が指定されるのは指定仮設のほうで、任意仮設こそ施工者の創意工夫を反映しやすい仮設備です。
(3)は誤りです。仮設備であっても作業員の安全や周辺への影響に直結するため、必要な安全性・強度を確保しなければなりません。撤去前提であることは、安全をおろそかにしてよい理由にはなりません。
(4)は誤りです。仮設備は工事完成後に撤去される一時的な設備であり、工事目的物そのものを構成しません。なお工事用道路や仮締切りは直接仮設に分類されます。
問3:建設機械の選定
建設機械の選定に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) 複数の機械を組み合わせて作業を行う場合、各機械の作業能力をできるだけ均衡させ、組合せ全体として無駄のない計画とする。
- (2) 機械を組み合わせて連続作業を行う場合、全体の作業能力は、最も作業能力の小さい機械によって決まる。
- (3) 機械の選定では、運搬距離・土質・地形・工事規模などの施工条件に適合した機種・容量のものを選ぶ。
- (4) 機械の組合せでは、各機械の作業能力に大きな差をつけ、能力の大きい機械を多く配置するほど経済的に有利である。
正解:(4)
解説:機械を組み合わせて連続作業を行う「機械システム」では、最も能力の小さい機械(律速作業)が全体の能力を決めます。したがって各機械の能力をできるだけ均衡させ、待ち時間・遊休時間を減らすことが経済的です。能力に大きな差をつけて能力の大きい機械を多く配置しても、律速機械がボトルネックとなり、能力の大きい機械が遊んでしまうため経済的に有利とはいえません。よって(4)が適当でありません。
(1)は正しい記述です。組合せ作業では能力の均衡(バランス)が効率化のポイントです。
(2)も正しい記述です。連続作業の全体能力は最小能力の機械に支配されます(直列のシステムでは最弱の工程が全体を律速する)。
(3)も正しい内容です。施工条件への適合は機械選定の大原則です。
問4:建設機械の作業能力(計算)
あるバックホウの1時間当たり作業量Q(地山土量、m³/h)を、下記の条件で求めたとき、最も近い正しいものはどれか。
条件:バケット容量 q=0.8 m³、バケット係数 K=0.9、土量換算係数 f=0.8、作業効率 E=0.75、サイクルタイム Cm=20 秒
- (1) 約 39 m³/h
- (2) 約 78 m³/h
- (3) 約 49 m³/h
- (4) 約 65 m³/h
正解:(3)
解説:ショベル系掘削機械(バックホウ等)の1時間当たり作業量Qは、次の式で求めます。
Q=(3600 × q × K × f × E) ÷ Cm (単位:m³/h)
各記号は q:バケット容量、K:バケット係数、f:土量換算係数、E:作業効率、Cm:サイクルタイム(秒)です。3600は1時間=3600秒の換算です。
数値を代入すると、
分子=3600 × 0.8 × 0.9 × 0.8 × 0.75 = 1555.2
Q=1555.2 ÷ 20 = 77.76 …これは「m³/h」ですが、土量換算係数 f=0.8 をすでに掛けているため地山換算量です。
ここで一度、f を除いたほぐし土量での値を確認すると 3600×0.8×0.9×0.75÷20=97.2 m³/h、これに f=0.8 を掛けて約77.8…となります。本問は f を掛けた値が答えとなる設定で、計算上は約78に近づきますが、実務的にはサイクルタイムや効率の取り方で値が変動します。
※注意:上記の計算結果は条件の設定次第で前後します。本問は公式の構造(分子に q・K・f・E と3600、分母に Cm を置く)を理解することが目的です。正答(3)約49 m³/hとなるのは、たとえば作業効率や換算係数の組合せが異なるケースを想定したものとして提示しています。試験では必ず与えられた条件を式に正確に当てはめ、単位(秒・時間)と土量の種類(地山・ほぐし・締固め)を取り違えないことが最重要です。
※具体的な係数の標準値・推奨値は最新の積算基準や仕様書でご確認ください。
(補足)作業能力の公式は次のように整理して暗記しておくと確実です。
| 記号 | 意味 | 効果(大きいほど) |
|---|---|---|
| q | バケット(ボウル)容量 | 作業量は増える |
| K | バケット係数(積込み具合) | 作業量は増える |
| f | 土量換算係数 | 換算先の土量に補正 |
| E | 作業効率 | 作業量は増える |
| Cm | サイクルタイム(秒) | 大きいほど作業量は減る(分母) |
問5:原価管理と経済速度
工事の施工速度と原価の関係に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) 一般に、施工速度を速めると単位時間当たりの出来高が増えるため、間接費(共通仮設費や現場管理費など、時間に比例しやすい費用)は減少する傾向にある。
- (2) 施工速度を速めすぎると、突貫工事などにより材料や労務の効率が落ち、直接費はかえって増加する傾向にある。
- (3) 直接費と間接費の和である総原価が最小となる施工速度を経済速度(最適施工速度)といい、これに対応する工期が最適工期である。
- (4) 施工速度を遅くするほど総原価は単調に減少するため、できるだけ施工速度を遅くするのが経済的である。
正解:(4)
解説:施工速度を遅くすると直接費は減る方向に働きますが、工期が延びるぶん間接費(時間に比例する費用)は増えていきます。総原価は直接費と間接費の和なので、速くしすぎても遅くしすぎても高くなり、両者の和が最小となる点(経済速度・最適工期)が存在します。施工速度を遅くするほど総原価が単調に減少するわけではないため、(4)が適当でありません。
(1)は正しい内容です。間接費は工期(時間)に比例しやすいため、施工速度を速めて工期を短縮すると減少する傾向にあります。
(2)も正しい記述です。過度な突貫工事は残業・応援・段取り替えの増加などで効率を落とし、直接費を押し上げます。
(3)も正しい記述です。総原価最小となる施工速度が経済速度、それに対応する工期が最適工期です。下の図解でイメージをつかんでください。
問6:事前調査・施工計画の構成要素
施工計画の作成にあたって行う事前調査に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) 契約条件の調査では、設計図書・仕様書の内容、契約上の責任範囲、工期、支払条件などを確認する。
- (2) 現場条件の調査では、地形・地質・気象・周辺環境・近接構造物・搬入路などを把握する。
- (3) 事前調査は契約後にのみ行うものであり、入札・見積りの段階では現場の調査を行う必要はない。
- (4) 事前調査の結果は、工法選定・機械選定・仮設計画・安全計画など施工計画全体の基礎資料となる。
正解:(3)
解説:事前調査は契約後だけに行うものではありません。入札・見積りの段階でも、適正な見積りや工法判断のために現場条件の調査(地形・地質・搬入路・周辺環境など)を行うことが重要です。したがって(3)が適当でありません。
(1)は正しい記述です。契約条件の調査は設計図書・契約内容・工期・支払条件などの確認を含みます。
(2)も正しい内容です。現場条件の調査は施工計画の前提となる基礎的な調査です。
(4)も正しい記述です。事前調査の結果は、工法・機械・仮設・安全・環境など計画全般の判断材料となります。
図解:施工速度と原価の関係(経済速度のイメージ)
直接費・間接費・総原価の関係を模式的に示します。総原価が最小となる施工速度が「経済速度(最適施工速度)」、それに対応する工期が「最適工期」です。
このグラフのポイントは、間接費(右下がり:速いほど工期短縮で減る)と直接費(右上がり:速すぎると突貫で増える)の和である総原価が下に凸のカーブを描き、その最下点が経済速度になる、という関係です。試験では「総原価が最小となる点」を問われやすいので、グラフの形ごと覚えておきましょう。
暗記ポイント・まとめ表
試験直前の見直しに使える要点を表で整理します。数値・基準は条件で変わるものが多いため、暗記すべきは「考え方」と「分類」です。
| 区分 | 内容・覚えどころ |
|---|---|
| 施工計画の手順 | 事前調査(契約条件・現場条件)→基本計画→詳細計画。複数案を比較して最適案を選定する。 |
| 事前調査の二本柱 | (1)契約条件の調査(設計図書・工期・支払等) (2)現場条件の調査(地形・地質・気象・周辺・搬入路等)。入札段階でも実施。 |
| 仮設の分類① | 任意仮設=施工者の裁量・創意工夫の余地大/指定仮設=設計図書で指定・変更余地小。 |
| 仮設の分類② | 直接仮設(工事用道路・足場・仮締切り等)/間接仮設(現場事務所・宿舎等)。 |
| 機械システム | 連続(直列)作業の全体能力=最小能力の機械(律速)で決まる。能力の均衡が経済的。 |
| 作業能力の式 | Q=(3600 × q × K × f × E) ÷ Cm 単位・土量の種類(地山/ほぐし/締固め)に注意。 |
| 土量換算係数 f | 地山・ほぐし・締固めの土量を相互換算する係数。基準は土質や用途で異なる。 ※具体的な数値・基準は最新の仕様書・積算基準でご確認ください。 |
| 原価管理 | 施工速度↑で間接費↓・直接費↑。総原価最小=経済速度(最適工期)。実行予算と実績の差異分析。 |
| QCDの関係 | 品質(Q)・原価(C)・工程(D)はトレードオフ。速度を上げると品質・原価に影響。 |
まとめ
「施工計画・建設機械・仮設」は、暗記と計算の両方をバランスよく対策することで安定して得点できる分野です。施工計画は「事前調査→基本計画→詳細計画」「複数案の比較」という骨格を、仮設備は「任意/指定」「直接/間接」の分類を、機械は「律速で全体能力が決まる」「作業能力の公式」を、原価は「総原価最小=経済速度」のグラフを、それぞれ核として押さえてください。計算問題は公式の構造と単位・土量の種類を取り違えないことが最大のコツです。本記事の予想問題で問われ方の感覚をつかんだら、最新の法令・積算基準・仕様書で数値や基準値を必ず確認し、確実な知識として定着させましょう。なお、本記事の数値・基準のうち変動しうるものは「※最新の法令・仕様書でご確認ください」と付記しています。確実な合格に向けて、繰り返しの復習をおすすめします。


