【1級土木施工管理技士 第一次検定】ダム・トンネルのよく出る問題と徹底解説【2026年度版】

【1級土木施工管理技士 第一次検定】ダム・トンネルのよく出る問題と徹底解説【2026年度版】
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ダム・トンネルは、1級土木施工管理技士 第一次検定のなかでも専門工学の代表的な出題分野で、毎年安定して問われる重要テーマです。とくにコンクリートダムの施工方法(RCD工法やブロック工法)、基礎地盤の改良(グラウチング)、そして山岳トンネルのNATM・支保工・覆工は、用語と施工手順をセットで理解しているかが合否を分けます。暗記だけでは選択肢の引っかけに対応しづらいため、「なぜその工法を使うのか」という目的・原理から押さえることが学習のコツです。本記事では、本試験の出題形式に近いオリジナル予想問題6問と、徹底解説をお届けします。

目次

頻出テーマ早わかり

まずは、ダム・トンネル分野で繰り返し問われる主要論点を整理します。各テーマの「キーワード」と「要点」を結び付けて覚えると、選択肢の正誤判断がスムーズになります。

分類主要論点要点・キーワード
ダム施工RCD工法超硬練り(スランプゼロに近い)コンクリートを薄層に敷均し、振動ローラで締固め。大量・急速施工に有利
ダム施工ブロック工法(柱状工法)ダム堤体を柱状ブロックに分割して打設。横継目・縦継目を設け、収縮対策にパイプクーリングを併用
ダム施工転流工河川の流れを切り替える仮設工。仮排水トンネル(バイパストンネル)方式などがある
基礎処理グラウチングセメントミルク等を岩盤に注入。止水目的のカーテングラウチング、地盤改良目的のコンソリデーショングラウチング
トンネルNATM地山自体の保持力(支保機能)を活用。吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼アーチ支保工が主要支保部材
トンネル掘削方式全断面工法・ベンチカット工法・導坑先進工法など。地山条件・断面で使い分け
トンネル覆工・補助工法覆工コンクリートで内空を保護。湧水・地山不良への対策として注入・水抜き・先受け等を採用

オリジナル予想問題6問+徹底解説

ここからは、本試験の出題形式に沿って自作したオリジナルの四肢択一問題です。実際に解いてから解説を読み、理解度をチェックしてください。

問1:コンクリートダムのRCD工法

コンクリートダムのRCD(Roller Compacted Dam-concrete)工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 単位水量が少なく、セメント量も比較的少ない貧配合の超硬練りコンクリートを使用する。
  • (2) コンクリートを薄層に敷き均し、振動ローラなどで締め固めて施工する。
  • (3) 大型機械による面状施工が可能で、堤体を急速かつ大量に打設するのに適している。
  • (4) スランプの大きい流動性の高いコンクリートを用い、内部振動機(バイブレータ)の差し込みによって締め固める。

正解:(4)

解説:RCD工法は、単位水量・セメント量の少ない貧配合の超硬練り(スランプがほぼゼロに近い)コンクリートを用い、ブルドーザで薄層に敷き均し、振動ローラで締め固めるのが本質です。したがって、「スランプの大きい流動性の高いコンクリートを内部振動機で締め固める」とする(4)が明らかに誤りで、これは一般のコンクリート打設や柱状ブロック工法の内部コンクリートに近い記述です。(1)はRCD用コンクリートの配合の特徴、(2)は施工方法の特徴、(3)は大量・急速施工に向くという長所で、いずれも正しい記述です。RCD工法は水和熱(発熱)を抑えやすく、温度ひび割れ対策にも有利という点も併せて押さえておきましょう。

問2:ダムの基礎処理(グラウチング)

ダムの基礎処理に用いるグラウチングに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • (1) カーテングラウチングは、基礎地盤や堤体との接合部付近の浅い範囲を面的に改良し、岩盤の変形性を改善することを主目的とする。
  • (2) コンソリデーショングラウチングは、貯水池からの浸透流(漏水)を遮断する止水壁(カーテン)を形成することを主目的とする。
  • (3) グラウチングでは、一般にセメントミルクなどの注入材を岩盤の割れ目(亀裂)に圧入し、止水性や地盤強度の改善を図る。
  • (4) グラウチングの効果確認は注入量のみで判断し、透水試験などによる確認は行わないのが原則である。

正解:(3)

解説:グラウチングは、セメントミルク等の注入材をボーリング孔から岩盤の割れ目に圧入し、止水性や地盤の一体性・強度を高める基礎処理工です。したがって(3)が正しい記述です。(1)と(2)は目的が入れ替わっています。正しくは、カーテングラウチングが貯水による漏水を防ぐための「止水カーテン(遮水壁)」をつくることを主目的とし、コンソリデーショングラウチングが基礎地盤の浅い範囲を面的に改良して変形性・均質性を改善することを主目的とします。(4)について、グラウチングの効果は注入量だけでなく、施工後の透水試験(ルジオン試験など)による確認も重要であり、「確認を行わない」とする記述は誤りです。各グラウチングの目的の区別は頻出ですので、確実に区別しておきましょう。

問3:コンクリートダムのブロック工法と温度対策

コンクリートダムの柱状ブロック工法および温度ひび割れ対策に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 堤体を多数のブロックに分割して打設し、ブロック間に横継目・縦継目を設けることで、収縮に伴うひび割れを制御する。
  • (2) マスコンクリートでは、セメントの水和熱による内部温度上昇とその後の冷却によって温度応力が生じ、ひび割れの原因となりやすい。
  • (3) パイプクーリングは、堤体内に通したパイプに冷却水を循環させ、コンクリート内部の温度上昇を抑制する対策である。
  • (4) 温度ひび割れ対策としては、単位セメント量を増やし発熱量を大きくして硬化を早めることが最も効果的である。

正解:(4)

解説:ダムのようなマスコンクリートでは、セメントの水和熱による温度上昇と冷却過程で生じる温度応力がひび割れの主因です。対策の方向は「発熱量を抑える」ことであり、具体的には低発熱型セメント(中庸熱・低熱ポルトランドセメント等)の使用、単位セメント量の低減、プレクーリング(材料の事前冷却)、パイプクーリング(埋設管による内部冷却)などがあります。よって「単位セメント量を増やし発熱量を大きくする」とする(4)は対策として明確に誤りです。(1)は継目によるひび割れ制御、(2)は温度応力発生の原理、(3)はパイプクーリングの仕組みで、いずれも正しい記述です。なお、近年主流のRCD工法は貧配合で発熱が小さく、温度対策上も有利という点を関連づけて理解しておくとよいでしょう。

問4:山岳トンネルのNATMと支保工

山岳トンネルのNATM(New Austrian Tunneling Method)に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • (1) NATMは地山そのものの保持力を積極的に活用せず、支保部材のみで全荷重を支える考え方を基本とする。
  • (2) 吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼アーチ支保工などを組み合わせ、地山と一体となって安定を図るのが基本的な考え方である。
  • (3) ロックボルトは、地山の変位を促進させてゆるみを増大させることを目的として打設する。
  • (4) 吹付けコンクリートは掘削からできるだけ時間をおいてから施工するほど、地山の安定上有利である。

正解:(2)

解説:NATMは、地山そのものが本来もつ支保機能(保持力)を最大限に活用し、吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼アーチ支保工といった支保部材を地山と一体化させてトンネルの安定を図る工法です。したがって(2)が正しい記述です。(1)は「地山の保持力を活用しない」とする点でNATMの基本思想と正反対であり誤りです。(3)について、ロックボルトは地山内部を締め付け・縫い付けて一体化させ、ゆるみを抑制してアーチ効果を発揮させるための部材であり、「変位を促進・ゆるみを増大させる」というのは目的が逆で誤りです。(4)について、吹付けコンクリートは掘削後の地山のゆるみが進む前にできるだけ早期(速やかに)施工することが安定上有利であり、「時間をおくほど有利」は誤りです。NATMでは計測(変位計測など)を行いながら支保を最適化する「情報化施工」の考え方も重要です。

問5:トンネルの掘削工法

山岳トンネルの掘削工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 全断面工法は、トンネル断面を一度に掘削する工法で、断面が比較的小さく地山が安定している場合に適している。
  • (2) ベンチカット工法は、上半(上部)と下半(下部)に分けて掘削する工法で、地山条件に応じてベンチ長を調整できる。
  • (3) 導坑先進工法は、先に小断面の導坑を掘進し、その後に断面を拡大していく工法で、地質確認や湧水処理に有利な場合がある。
  • (4) 地山が軟弱で不安定なほど全断面工法が適しており、断面を分割する工法は地山が安定した良好な地盤に限って用いられる。

正解:(4)

解説:掘削工法は、地山条件・断面の大きさ・湧水の有無などに応じて使い分けます。一般に、地山が良好で安定している(かつ断面が比較的小さい)場合に全断面工法が適し、地山が軟弱・不安定になるほど一度に掘る断面を小さくする分割掘削(ベンチカット工法、さらに分割する場合は導坑先進工法など)が有利になります。したがって(4)は説明が逆転しており誤りです。(1)は全断面工法、(2)はベンチカット工法、(3)は導坑先進工法のそれぞれの特徴を適切に述べており正しい記述です。「地山が悪いほど切羽の自立性を確保するために断面を小さく分割する」という基本的な考え方を押さえておけば、引っかけを見抜けます。

問6:トンネルの覆工・補助工法

山岳トンネルの覆工および補助工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 覆工コンクリートは、一般に型枠(移動式型枠=セントルなど)を用いて施工し、内空の保護や仕上げの役割を担う。
  • (2) 覆工コンクリートは、原則として地山や支保工の変位がほぼ収束したことを確認したうえで施工することが望ましい。
  • (3) 切羽の安定確保や天端の崩落防止のための補助工法として、注入工・水抜き工・先受け工(フォアパイリング等)などが用いられる。
  • (4) 湧水が多い地山では、排水や水抜きを行わず、湧水をそのまま閉じ込めて施工するのが最も安全である。

正解:(4)

解説:湧水が多い地山では、地山の安定性や施工性を確保するため、水抜き工・排水工などによって適切に湧水を処理(水位低下・減圧・排水)するのが基本です。湧水をそのまま閉じ込めることは、切羽の不安定化や施工障害を招くため、「閉じ込めるのが最も安全」とする(4)は誤りです。(1)は覆工の施工方法と役割、(2)は覆工施工のタイミングの考え方(地山・支保工の変位がほぼ収束してから施工するのが基本)、(3)は補助工法の例で、いずれも正しい記述です。補助工法は「切羽前方・天端の安定確保」「湧水処理」「地山の補強」など目的別に整理しておくと、選択肢の判別がしやすくなります。

暗記ポイント・まとめ表

試験直前の見直しに使える、頻出の用語・目的・分類を表にまとめました。各語句が「何を目的とした、どのような工法・部材か」をセットで覚えるのが得点アップの近道です。

用語・工法分野目的・特徴(覚えるポイント)
RCD工法ダム貧配合の超硬練りコンクリートを薄層敷均し→振動ローラで締固め。大量・急速施工、発熱抑制に有利
ブロック(柱状)工法ダム堤体をブロックに分割、横・縦継目を設置。収縮ひび割れ制御、パイプクーリング併用
カーテングラウチング基礎処理止水目的。貯水池からの漏水を遮断する止水カーテンを形成
コンソリデーショングラウチング基礎処理地盤改良目的。基礎地盤の浅い範囲を面的に改良し変形性を改善
NATMトンネル地山の保持力を活用。吹付けコンクリート+ロックボルト+鋼アーチ支保工で地山と一体化
吹付けコンクリート支保工掘削後すみやかに施工し地山のゆるみを抑える主要支保部材
ロックボルト支保工地山を締付け・縫付けして一体化、ゆるみ抑制・アーチ効果の発揮
全断面/ベンチカット/導坑先進掘削地山が良好・小断面ほど全断面、軟弱・不安定ほど分割掘削が有利
覆工コンクリートトンネル変位がほぼ収束後にセントル等で施工、内空保護・仕上げ
補助工法トンネル注入工・水抜き工・先受け工など。切羽・天端の安定確保、湧水処理

※具体的な数値・基準(注入圧力やルジオン値、配合の具体値、各工法の適用範囲の細部など)は、設計・施工の条件により異なります。受験対策上の細かな数値や判断基準は、最新の法令・技術基準・仕様書(例:各種示方書・指針類)でご確認ください。

図解:山岳トンネルの主要支保部材(NATM)

NATMにおける主要支保部材の位置関係を、模式的に示します。吹付けコンクリートがトンネル内面を覆い、ロックボルトが地山内部へ放射状に打設され、鋼アーチ支保工が断面形状を保持するイメージで理解してください。

NATM 主要支保部材の模式図 吹付けコンクリート ロックボルト(放射状) 内空(トンネル断面) 地山(鋼アーチ支保工で断面形状を保持)

※上図はあくまで部材の役割を理解するための模式図です。実際の支保パターンや部材寸法は地山等級・断面・設計条件によって異なります。

まとめ

ダム・トンネル分野は、用語の意味と「目的・原理」をセットで理解すれば、本試験の引っかけ選択肢にも惑わされず安定して得点できる分野です。ダムではRCD工法とブロック工法の違い、カーテン/コンソリデーションの各グラウチングの目的の区別、温度ひび割れ対策の方向性(発熱を抑える)が最重要ポイントです。トンネルではNATMが地山の保持力を活用する思想であること、吹付け・ロックボルト・鋼アーチ支保工の役割、地山が悪いほど断面を分割して掘る原則、覆工は変位収束後に施工する考え方を押さえましょう。本記事の予想問題を繰り返し解き、まとめ表で最終確認をして、本番に臨んでください。なお、細かな数値・基準は必ず最新の法令・技術基準でご確認のうえ学習を進めることをおすすめします。

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