【1級土木施工管理技士 第一次検定】工程管理・ネットワーク式工程表のよく出る問題と徹底解説【2026年度版】

【1級土木施工管理技士 第一次検定】工程管理・ネットワーク式工程表のよく出る問題と徹底解説【2026年度版】
  • URLをコピーしました!

工程管理は、1級土木施工管理技士 第一次検定の中でも毎年安定して出題される頻出分野です。とくに「各種工程表の特徴・比較」と「ネットワーク式工程表の日程計算(クリティカルパス・最早/最遅開始時刻・余裕日数)」は、出題のパターンが決まっているため、得点源にしやすい一方で、計算手順を曖昧にしたままだと取りこぼしやすいテーマでもあります。学習のコツは、まず各工程表が「何を分かりやすく表現するものか」を整理し、次にネットワーク図の計算ルール(前進計算・後退計算)を手を動かして身体で覚えることです。本記事では、本試験の出題形式に近いオリジナルの四肢択一問題を6問用意し、正答の根拠と他選択肢の正誤を一つずつ丁寧に解説します。保存版としてくり返し復習してください。

目次

頻出テーマ早わかり

工程管理分野で問われやすい主要論点と、その要点を表にまとめました。まずは全体像をつかんでから、個別の問題に取り組みましょう。

論点要点・出題されやすいポイント
横線式工程表(ガントチャート)縦軸に作業、横軸に達成度(%)。各作業の進捗率は分かるが、作業間の関連や全体への影響が把握しにくい。
横線式工程表(バーチャート)縦軸に作業、横軸に時間(日付)。作成が容易で見やすいが、作業の相互関係や重要度(どの作業が全体工期を左右するか)が分かりにくい。
曲線式工程表(出来高累計曲線・Sカーブ)横軸に時間、縦軸に出来高累計(%)。工事全体の進捗の良否を管理しやすい。バナナ曲線(許容範囲)と組み合わせて管理する。
斜線式工程表(座標式)トンネル・道路・水路など、一定方向に進む線状工事の進捗管理に適する。距離と時間の関係を表す。
ネットワーク式工程表作業の前後関係・順序を明確に表現でき、クリティカルパスや各作業の余裕を計算できる。複雑な工事の管理や工程短縮の検討に有効。
クリティカルパス所要日数が最も長い経路。総余裕(トータルフロート)がゼロの作業を結ぶ経路で、全体工期を支配する。
日程計算最早開始時刻(前進計算・大きい値を採用)、最遅完了時刻(後退計算・小さい値を採用)、トータルフロート・フリーフロートの算出。

予想問題(オリジナル四肢択一)

ここからは本試験の形式に近いオリジナル問題です。まずは自分で解答してから、解説を確認してください。

問1:各種工程表の特徴

各種工程表の特徴に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) バーチャートは、縦軸に作業名、横軸に時間(日数)をとり、各作業の着手日と完了日が一目で分かるため、作成が比較的容易である。
  • (2) ガントチャートは、縦軸に作業名、横軸に各作業の達成度(%)をとるため、現時点での各作業の進捗状況を把握しやすい。
  • (3) 出来高累計曲線(Sカーブ)は、工事全体の出来高の進捗を把握するのに適しているが、個々の作業の相互関係を表現するのには適していない。
  • (4) ガントチャートは、各作業の進捗度に加え、作業相互の関連や全体工期に与える影響度を明確に把握できる点が大きな特長である。

正解:(4)

解説:(4)が適当ではありません。ガントチャートは横軸に達成度(%)をとるため、各作業がいまどの程度進んでいるかは一目で分かりますが、「作業の所要日数」「作業相互の前後関係」「どの作業が全体工期を左右するか(重要度)」は読み取れないという弱点があります。これらを明確に表現できるのはネットワーク式工程表です。(1)はバーチャートの説明として適当で、横軸に時間をとり各作業を棒で表すため作成が容易で見やすい工程表です。(2)はガントチャートの基本的な説明として適当です。(3)もSカーブ(出来高累計曲線)の説明として適当で、全体の進捗の良否は分かりますが作業間の関連は表現できません。各工程表が「何を得意とし、何を不得意とするか」をセットで覚えるのが得点のコツです。

問2:工程表の用途と選定

工程表の用途に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  • (1) トンネルや道路など、一定方向に進行する線状の工事の進捗管理には、横線式のガントチャートが最も適している。
  • (2) 斜線式工程表(座標式工程表)は、横軸に距離、縦軸に時間(またはその逆)をとり、線状工事における工区ごとの進捗を把握しやすい。
  • (3) 出来高累計曲線は、各作業の開始時刻・完了時刻や作業余裕日数を計算するのに最も適した工程表である。
  • (4) ネットワーク式工程表は、作成が容易で誰でも直感的に理解しやすいため、ごく小規模で単純な作業の管理に限って用いられる。

正解:(2)

解説:(2)が最も適当です。斜線式工程表(座標式・距離程式)は、距離(位置)と時間の関係を斜めの線で表すもので、トンネル・道路・水路・管路といった一定方向に進む線状工事の進捗管理に適しています。(1)は誤りで、線状工事に適しているのは斜線式工程表であり、ガントチャートは達成度の把握には向きますが線状工事の位置的な進捗管理には適しません。(3)も誤りで、各作業の開始・完了時刻や余裕日数を計算できるのはネットワーク式工程表です。出来高累計曲線は全体進捗の管理に向きます。(4)も誤りで、ネットワーク式工程表はむしろ作業が多く前後関係が複雑な工事や、工程短縮の検討に有効です。一方で作成にはやや手間がかかり、見慣れないと直感的な理解がしにくいという面があります。「線状工事=斜線式」という対応をしっかり押さえましょう。

問3:ネットワーク式工程表の用語

ネットワーク式工程表に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) クリティカルパスとは、ネットワーク上の開始から終了までの経路のうち、所要日数が最も長い経路をいう。
  • (2) ダミー(破線の矢線)は、作業の前後関係(順序)のみを表し、所要日数を持たない。
  • (3) トータルフロート(総余裕)がゼロである作業を結んだ経路が、クリティカルパスとなる。
  • (4) クリティカルパス上の作業に余裕日数を見込めるため、その作業が多少遅れても全体の工期には影響しない。

正解:(4)

解説:(4)が適当ではありません。クリティカルパスは余裕(フロート)がゼロの作業を結ぶ経路ですから、クリティカルパス上の作業が遅れると、その遅れがそのまま全体工期の遅れに直結します。つまり余裕を見込むことはできず、最重点で管理すべき経路です。(1)はクリティカルパスの定義として適当で、最も所要日数が長い経路が全体工期を支配します。(2)はダミーの説明として適当で、ダミーは実作業を伴わず順序関係だけを示すため所要日数(日数)はゼロです。(3)も適当で、トータルフロートがゼロの作業を結ぶ経路がクリティカルパスです。なお、クリティカルパスは必ずしも1本とは限らず、複数存在する場合もあります。工程短縮を検討するときは、まずクリティカルパス上の作業に着目するのが基本です。

問4:日程計算(クリティカルパスと所要工期)

下図のネットワーク式工程表において、クリティカルパスの所要日数として正しいものはどれか。なお、矢線上の数字は各作業の所要日数を表し、破線はダミーである。

A=5B=4C=6D=7ダミーE=3

※図の内容:①→②(作業A=5日)、①→③(作業B=4日)、②→④(作業C=6日)、③→④(作業D=7日)、④→⑤(作業E=3日)。②→③はダミー(所要日数0)。

  • (1) 14日
  • (2) 15日
  • (3) 17日
  • (4) 18日

正解:(2)

解説:各経路の所要日数を計算します。まず④に入る経路を比べます。経路A→C(①→②→④)は5+6=11日です。一方、ダミーにより②が終わらないと③に進めない関係があるため、③の最早開始は「①→③(B=4日)」と「①→②→ダミー→③(A=5日+0日=5日)」の大きい方をとり5日となります。そこから③→④(D=7日)を足すと5+7=12日です。よって④の最早完了時刻は、11日と12日の大きい方をとって12日です。最後に④→⑤(E=3日)を加えると、全体工期は12+3=15日となります。したがってクリティカルパスは①→②→③(ダミー)→④→⑤で、所要日数は(2)の15日です。ネットワーク計算では、合流する結合点で「最早開始時刻は流入する経路の最大値を採用する」という前進計算のルールが最重要ポイントです。

問5:最早開始時刻と最遅完了時刻

ネットワーク式工程表における日程計算に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • (1) 最早開始時刻は、開始点から順に各作業の所要日数を加算して求める「前進計算」によって算出する。
  • (2) 複数の作業が合流する結合点の最早開始時刻は、流入する経路で求めた値のうち最大のものを採用する。
  • (3) 最遅完了時刻は、最終点から逆向きに各作業の所要日数を減算していく「後退計算」によって求める。
  • (4) 複数の作業に分岐する結合点の最遅完了時刻は、後退してきた値のうち最大のものを採用する。

正解:(4)

解説:(4)が適当ではありません。後退計算において、複数の作業が分岐する(後退計算では複数の値が流入してくる)結合点の最遅完了時刻は、「最小のもの」を採用します。最大を採用してしまうと、後続の作業が間に合わなくなる経路が生じてしまうためです。前進計算では「最大」、後退計算では「最小」を採用するのが基本ルールで、ここが入れ替わって出題されやすい定番のひっかけです。(1)は前進計算の説明として適当です。(2)も適当で、合流点の最早開始時刻は最も遅く到達する経路(最大値)に合わせます。(3)も後退計算の説明として適当で、最終点の工期から逆算して各結合点の最遅完了時刻を求めます。「前進=大きい方、後退=小さい方」と語呂で覚えておくと、計算問題でも確実に対応できます。

問6:余裕日数(フロート)

ネットワーク式工程表の余裕日数(フロート)に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • (1) トータルフロート(総余裕)とは、その作業を最も早く開始しても必ず生じてしまう待ち時間のことをいう。
  • (2) フリーフロート(自由余裕)は、その作業内で自由に使え、使い切っても後続作業の最早開始時刻に影響を与えない余裕である。
  • (3) 一般に、フリーフロートはトータルフロートよりも大きくなる。
  • (4) クリティカルパス上の作業のトータルフロートは、最大値をとる。

正解:(2)

解説:(2)が適当です。フリーフロート(自由余裕)は、その作業の範囲内で自由に消費でき、たとえ使い切っても後続作業の最早開始時刻に影響を及ぼさない余裕日数です。(1)は誤りで、トータルフロート(総余裕)は「その作業で使える最大の余裕日数」であり、必ず生じる待ち時間という意味ではありません。トータルフロートを使い切ると、後続作業や全体工期に影響が及ぶ可能性があります。(3)も誤りで、一般にフリーフロートはトータルフロート以下(フリーフロート ≦ トータルフロート)の関係になります。フリーフロートがトータルフロートを上回ることはありません。(4)も誤りで、クリティカルパス上の作業はトータルフロートがゼロです。最大ではなく最小(ゼロ)である点に注意してください。余裕日数は「トータル ≧ フリー」「クリティカルパス上はゼロ」の2点を押さえれば、ほとんどの設問に対応できます。

暗記ポイント・まとめ表

試験直前に見直したい、工程管理の重要ポイントを整理しました。数値や計算ルールはあいまいにせず、確実に覚えておきましょう。

用語・項目覚えておきたいポイント
ガントチャート横軸=達成度(%)。進捗率は分かるが、所要日数・作業の関連・重要度は分からない。
バーチャート横軸=時間(日数)。作成が容易で見やすいが、作業相互の関連や重要度は把握しにくい。
出来高累計曲線(Sカーブ)全体進捗の良否管理に有効。バナナ曲線(上方・下方許容限界)と併用。
斜線式(座標式)工程表トンネル・道路など線状工事の進捗管理に適する(距離と時間の関係)。
ネットワーク式工程表作業の前後関係を明示。クリティカルパスや余裕日数の計算ができ、工程短縮の検討に有効。
クリティカルパス所要日数が最長の経路=全体工期を支配。トータルフロートはゼロ。複数存在することもある。
前進計算(最早開始時刻)合流点では流入経路の「最大値」を採用。
後退計算(最遅完了時刻)分岐点では流入してきた値の「最小値」を採用。
ダミー破線で表す。順序関係のみを示し、所要日数はゼロ。
フロート(余裕)トータルフロート ≧ フリーフロート。クリティカルパス上はゼロ。

日程計算の手順(フロー)

ネットワーク計算は、次の流れで進めると間違えにくくなります。手順を図で確認しておきましょう。

① 前進計算で各点の最早開始時刻を求める② 最終点の最早完了=全体工期を確定③ 後退計算で各点の最遅完了時刻を求める④ 最早=最遅で余裕ゼロの経路=クリティカルパスを特定

まとめ

工程管理は、各種工程表の「得意・不得意」を整理して覚える知識問題と、ネットワーク式工程表の日程計算問題が二本柱です。工程表は「ガントチャート=達成度」「バーチャート=時間軸で見やすいが関連が不明」「Sカーブ=全体進捗」「斜線式=線状工事」「ネットワーク=前後関係・余裕計算」という対応を確実に押さえましょう。計算問題では「前進計算は最大値、後退計算は最小値」「クリティカルパスは余裕ゼロの最長経路」「トータルフロート ≧ フリーフロート」という原則を、実際に手を動かしながら身につけることが合格への近道です。本記事の6問とまとめ表をくり返し復習し、確実な得点源にしてください。なお、法令や仕様書に基づく具体的な数値・基準は、最新の法令や公共工事標準仕様書等で必ずご確認ください。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次