コンクリート工は、1級土木施工管理技士 第一次検定のなかでも毎年安定して出題される最重要分野の一つです。材料・配合設計から運搬・打込み・締固め・打継ぎ・養生、そして品質管理や各種コンクリートまで論点が幅広く、数値や用語を「なぜそうなるのか」とセットで理解しているかが問われます。丸暗記だけでは引っかけ選択肢に対応しきれないため、施工のメカニズム(ワーカビリティー・ブリーディング・コールドジョイントなど)を押さえることが得点アップの近道です。本記事では、本試験の出題傾向に沿ったオリジナル予想問題6問と徹底解説で、頻出ポイントを一気に整理します。
頻出テーマ早わかり
まずは、コンクリート工で繰り返し問われる主要論点とその要点を表で俯瞰しましょう。どこが「比較・選択」で問われやすいかを意識すると、学習効率が大きく上がります。
| テーマ | 要点・問われやすいポイント |
|---|---|
| 材料 | セメントの種類と特性(普通・早強・中庸熱・高炉・フライアッシュ)、骨材の品質、混和材料(AE剤・減水剤・フライアッシュ・高炉スラグ微粉末)の役割 |
| 配合設計 | 水セメント比と強度・耐久性の関係、スランプの選定、空気量、単位水量を小さくする考え方、細骨材率 |
| 運搬 | 練混ぜから打込みまでの時間制限、材料分離の防止、ポンプ圧送・シュート使用上の注意 |
| 打込み | 打込み高さ・自由落下、打込み順序、型枠・鉄筋への分離防止、低い位置からの投入 |
| 締固め | 内部振動機(バイブレータ)の挿入間隔・引抜き方法・挿入深さ、過度な締固めの弊害 |
| 打継ぎ | 水平打継ぎ・鉛直打継ぎの処理、レイタンス除去、コールドジョイントの防止 |
| 養生 | 湿潤養生の目的と期間、温度管理、初期凍害・乾燥収縮ひび割れの防止 |
| 品質管理 | スランプ試験・空気量試験・圧縮強度試験、レディーミクストコンクリートの受入検査 |
| 各種コンクリート | マスコンクリート、寒中・暑中コンクリート、海洋コンクリート、流動化コンクリート |
予想問題+徹底解説(オリジナル四肢択一・全6問)
ここからは本試験の出題形式に近づけた予想問題です。まず自分で解いてから解説を読み、なぜその選択肢が正しい/誤りなのかを言語化できるようにしましょう。
問1:コンクリート用材料
コンクリート用材料に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) 早強ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントに比べて初期強度の発現が早く、寒中コンクリートや工期短縮を要する工事に適している。
- (2) 中庸熱ポルトランドセメントは、水和熱が比較的低いため、マスコンクリートの温度ひび割れ抑制に有利である。
- (3) AE剤は、コンクリート中に微細な独立した空気泡を連行し、ワーカビリティーと耐凍害性を向上させる。
- (4) 骨材に含まれる微粒分や有機不純物は、強度や耐久性を高める作用があるため、できるだけ多く含まれていることが望ましい。
正解:(4)
解説:(4)が明らかに誤りです。骨材中の微粒分(粘土・シルトなど)や有機不純物は、所要の単位水量の増加、強度や耐久性の低下、凝結不良などの悪影響を及ぼすため、できるだけ少ないことが求められます。一定の品質規定を満たす骨材を用いるのが原則です。(1)早強ポルトランドセメントは初期強度の発現が早く、寒中工事や工期短縮に向くという記述は妥当です。(2)中庸熱ポルトランドセメントは水和熱が低めで、マスコンクリートの温度ひび割れ対策として用いられます。(3)AE剤は微細な独立空気泡(エントレインドエア)を連行し、ワーカビリティーの改善と凍結融解抵抗性(耐凍害性)の向上に寄与します。よって誤りは(4)です。
問2:配合設計
コンクリートの配合設計に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
- (1) 水セメント比を大きくするほど、コンクリートの強度や耐久性は一般に高くなる。
- (2) 単位水量は、所要のワーカビリティーが得られる範囲で、できるだけ小さくすることが望ましい。
- (3) スランプは大きいほど施工性に優れるため、構造物の種類にかかわらず大きく設定するのがよい。
- (4) 空気量は多いほど耐凍害性に有利であり、強度低下を心配せず多量に連行するのが望ましい。
正解:(2)
解説:(2)が適当です。単位水量が大きいとブリーディングや乾燥収縮、材料分離が増え、強度・耐久性に不利となるため、所要のワーカビリティーを確保できる範囲でできるだけ小さくするのが基本的な考え方です。(1)は誤りで、水セメント比が大きい(水が多い)ほど強度・耐久性は一般に低下します。強度を確保するには水セメント比を小さくするのが原則です。(3)も誤りで、スランプは大きいほど材料分離やブリーディングが生じやすくなるため、施工が可能な範囲でできるだけ小さく、構造物や施工条件に応じて適切に設定します。(4)も誤りで、空気量を多くすると耐凍害性には有利ですが、過大になると強度が低下します。適切な範囲に管理する必要があります。したがって適当なのは(2)です。
問3:運搬
コンクリートの運搬に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) コンクリートは、練混ぜから打込み終了までの時間が長くなるほど品質低下のおそれがあるため、できるだけ速やかに運搬・打込みを行う。
- (2) コンクリートポンプによる圧送では、輸送管の径や配管経路、コンクリートの性状を考慮し、閉塞や材料分離を防ぐ計画とする。
- (3) シュートを用いて運搬する場合は、縦シュートを標準とし、斜めシュートを用いるときは材料分離を生じないよう配慮する。
- (4) 運搬中に材料分離が生じた場合は、そのまま打ち込めば締固めによって自然に均一化するため、特別な対応は不要である。
正解:(4)
解説:(4)が誤りです。運搬中に材料分離が生じた場合は、十分に練り直すなどして均質性を回復させる必要があり、分離したまま打ち込むと品質欠陥の原因になります。「締固めで自然に均一化する」というのは誤った考え方です。(1)練混ぜから打込み終了までの時間が長いとスランプ低下や品質低下を招くため、できるだけ速やかに行うのは正しい記述です。(2)ポンプ圧送では配管計画やコンクリートの性状管理により閉塞・材料分離を防ぐことが重要です。(3)シュートは縦シュートを標準とし、斜めシュートを使用する場合は材料分離防止の配慮が必要というのは妥当です。よって誤りは(4)です。なお、運搬の時間制限の具体的な数値・基準は気温やコンクリートの種類で異なります。※具体的な数値・基準は最新の法令や仕様書でご確認ください。
問4:打込み・締固め
コンクリートの打込みおよび締固めに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) コンクリートを打ち込む際は、材料分離を防ぐため、できるだけ低い位置から打ち込み、自由落下高さを小さく抑える。
- (2) 内部振動機(棒状バイブレータ)は、コンクリートにほぼ鉛直に挿入し、引き抜くときは穴が残らないようゆっくり引き抜く。
- (3) 内部振動機は、横方向にコンクリートを移動させる目的で長時間使用するのが望ましい。
- (4) 2層以上に分けて打ち込む場合は、上層と下層が一体となるよう、内部振動機を下層に適切に挿入して締め固める。
正解:(3)
解説:(3)が誤りです。内部振動機(バイブレータ)は締固めのために用いるものであり、横方向にコンクリートを移動・流動させる目的で使うものではありません。横移動に使うと材料分離を助長します。また、過度・長時間の締固めは材料分離やブリーディングの増加を招くため避けます。(1)打込み時は自由落下高さを小さくし、低い位置から打ち込んで材料分離を防ぐのは正しい考え方です。(2)バイブレータはほぼ鉛直に挿入し、穴が残らないようにゆっくり引き抜くのが基本です。(4)2層以上に分けて打ち込む場合は、上下層を一体化させるため、バイブレータの先端を下層に適切に挿入して締め固めます。これにより打継ぎ部の弱点(コールドジョイント)を防ぎます。よって誤りは(3)です。
問5:打継ぎ・養生
コンクリートの打継ぎおよび養生に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) 水平打継目では、既に打ち込んだコンクリート表面のレイタンスや緩んだ骨材を取り除き、健全な面を露出させてから新たなコンクリートを打ち込む。
- (2) コールドジョイントは、先に打ち込んだコンクリートが固まり始めた後に次のコンクリートを打ち重ねたときに生じやすく、打重ね時間間隔の管理で防止する。
- (3) 湿潤養生は、セメントの水和反応を促進し強度発現や耐久性を確保するために行い、所定の期間コンクリート表面を乾燥させないようにする。
- (4) 打込み後のコンクリートは、強度が出るまでできるだけ早く表面を乾燥させた方がひび割れを防げるため、養生はせず自然乾燥させるのがよい。
正解:(4)
解説:(4)が誤りです。打込み後に表面を早く乾燥させると、セメントの水和反応に必要な水分が失われ、強度不足や乾燥収縮ひび割れの原因になります。所定期間は湿潤状態を保つ養生が必要であり、「自然乾燥がよい」という記述は明確に誤りです。(1)水平打継目ではレイタンス(表面に浮いた脆弱な薄層)や緩んだ骨材を除去し、健全面を露出させてから打ち継ぐのが原則です。(2)コールドジョイントは打重ね時間間隔が長くなると生じやすいため、時間管理が防止の鍵となります。(3)湿潤養生は水和反応の促進と強度・耐久性確保のために行い、表面を乾燥させないことが目的です。したがって誤りは(4)です。なお、湿潤養生期間の具体的な日数はセメントの種類や気温により異なります。※具体的な数値・基準は最新の法令や仕様書でご確認ください。
問6:品質管理・各種コンクリート
コンクリートの品質管理および各種コンクリートに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
- (1) レディーミクストコンクリートの受入れ時には、スランプ・空気量・圧縮強度などについて、所定の方法で品質を確認する。
- (2) 暑中コンクリートでは、高温によりスランプ低下やコールドジョイントが生じやすいため、運搬・打込み時間の短縮や材料温度の管理などに配慮する。
- (3) 寒中コンクリートでは、初期凍害を防ぐため、打込み後の保温や給熱などにより一定の温度を確保する養生を行う。
- (4) マスコンクリートでは、水和熱による温度上昇が小さいほど温度ひび割れが生じやすいため、発熱量の大きいセメントを積極的に用いるのがよい。
正解:(4)
解説:(4)が誤りです。マスコンクリートでは、断面が大きいために水和熱による内部温度の上昇と内外温度差が大きくなり、温度ひび割れが生じやすくなります。対策としては、水和熱の低いセメント(中庸熱・低熱ポルトランドセメントや高炉セメント等)を用いる、単位セメント量を抑える、打込み温度を下げる、パイプクーリングを行うなどがあり、「発熱量の大きいセメントを積極的に用いる」のは逆の対応で誤りです。(1)レディーミクストコンクリートの受入検査でスランプ・空気量・圧縮強度等を確認するのは妥当です。(2)暑中コンクリートはスランプ低下やコールドジョイントが起こりやすく、時間短縮や温度管理が重要です。(3)寒中コンクリートでは初期凍害防止のため保温・給熱養生を行います。よって誤りは(4)です。
暗記ポイント・まとめ表
得点に直結する頻出の用語・分類を整理します。数値は気温・セメント種類・構造物条件で変わるため、ここでは「考え方の方向性」を確実に覚えることを優先しましょう。
| 項目 | 覚えておきたい方向性・キーワード |
|---|---|
| 水セメント比 | 小さいほど強度・耐久性が高い(水が多いほど不利) |
| 単位水量 | 所要のワーカビリティーが得られる範囲でできるだけ小さく |
| スランプ | 大きいほど材料分離・ブリーディングが生じやすい。施工可能な範囲で小さく |
| 空気量 | 適切に連行すると耐凍害性向上。過大は強度低下 |
| AE剤 | 微細な独立空気泡を連行→ワーカビリティー改善・耐凍害性向上 |
| レイタンス | 打継ぎ面の脆弱な薄層。除去してから打ち継ぐ |
| コールドジョイント | 打重ね時間間隔が長いと発生。時間管理で防止 |
| 内部振動機 | ほぼ鉛直挿入・ゆっくり引抜き。横移動目的・長時間は不可 |
| 湿潤養生 | 表面を乾燥させない。水和反応促進・ひび割れ防止 |
| マスコンクリート | 水和熱が課題→低発熱セメント・単位セメント量低減・温度管理 |
| 寒中コンクリート | 初期凍害防止→保温・給熱養生 |
| 暑中コンクリート | スランプ低下・コールドジョイント→時間短縮・温度管理 |
図解:フレッシュコンクリートの施工フローと品質に効く要点
練混ぜから養生までの流れと、各工程で「品質を落とさないために何に注意するか」を一枚で整理しました。各工程の管理ポイントを線でつなげて理解すると、引っかけ選択肢にも対応しやすくなります。
まとめ
コンクリート工は出題範囲が広い一方で、「水セメント比は小さいほど有利」「単位水量・スランプは小さく」「材料分離・コールドジョイント・ひび割れを各工程で防ぐ」という一貫した考え方を押さえれば、多くの問題に対応できます。今回の6問のように、本試験では正しい原則をひっくり返した選択肢(自然乾燥がよい、発熱量の大きいセメントを使う等)が誤答として並ぶ傾向があります。原則の方向性とその理由をセットで理解し、各種コンクリート(マス・寒中・暑中・海洋など)の特性も整理しておきましょう。なお、養生期間や運搬時間などの具体的な数値・基準は条件により変わるため、※具体的な数値・基準は最新の法令や仕様書でご確認ください。繰り返し演習して、確実な得点源にしていきましょう。


