【1級土木施工管理技士】基礎工について徹底解説!

絶対にわかる1級土木施工管理技士

基礎工

基礎とは土木構造物を地盤から支持し、安定に支えるために重要な役割を果たします。

基礎工は「浅い基礎」「深い基礎」に分類されます。

「浅い基礎」とは根入れ深さDfが基礎幅B以下のもの

「深い基礎」とは根入れ深さDfが基礎幅B以上のもの を指します。

「浅い基礎」は砂・砂礫層においてN値が30以上,粘性土においてN値が20以上かつ圧密のおそれがない場合に原地盤から直接基礎をとる(場合により地盤改良を行う)ことにより構造物を支持する工法です。

 

「深い基礎」は浅い基礎の条件を満たさない場合に用いられる工法で下記のように分類することができます。

【深い基礎】

①杭工法

既製杭工法→打ち込み杭工法、埋め込み杭工法
場所打ち杭工法→オールケーシング工法、アースドリル工法、リバース工法、深基礎工法

②ケーソン基礎

オープンケーソン工法
ニューマチックケーソン工法
設置ケーソン工法

③特殊基礎

鋼矢板基礎工法
多柱基礎工法
地中連続壁工法

以下に基礎工の分類図を示します。

直接基礎

構造物から直接支持力をとる工法です。一般に良質な支持層が深さ5m程度の浅いところにある場合に用いられます。

良質な支持層とは砂・砂礫層においてN値が30以上,粘性土においてN値が20以上かつ圧密のおそれがないものをいいます。

施工上の留意点

  1. 基礎地盤をコンクリートで置き換える場合:底面を水平に掘削し浮石は完全に除去する
  2. 基礎地盤が岩盤の場合:底面の不陸を残し均しコンが噛み合うように施工する
  3. 基礎地盤が砂地盤の場合:割栗石や砕石を敷き均す

直接基礎では柱や壁から地盤に伝わる圧力を低減するために基礎の設置面積を大きくすることが一般的です。(フーチング)

そこ施工方法によって直接基礎は主に3つに大別されます。

布基礎:柱や壁の下など必要な箇所に基礎を施工する工法

床部に鉄筋コンクリートを使用しないため、べた基礎よりも経済的ですが、柱・壁下のみの基礎になるためべた基礎に比べ耐震性の低下、シロアリ被害の懸念があります。

べた基礎:床下の全面に鉄筋コンクリートを打設して施工する工法

住宅の構造物に使用されることの多い工法です。

床部に鉄筋コンクリートを打設することで荷重を全面的に支えることができ耐震性向上、湿気対策、シロアリ対策になりますがコストがかかります。

独立基礎:独立したフーチング基礎と地中梁で施工する工法

大型商業施設やビル・マンションなど施工面積の比較的大きな構造物では経済性の観点からよく使用される工法です。

独立基礎では構造物の柱下のみの基礎と地中梁によって構成されるため、布基礎、べた基礎に比べコストが安いです。

地中梁は基礎の転倒防止や構造部材の梁として機能します。

杭基礎

杭基礎は主に2種類に分類されます。

①既製杭工法 ②場所打ち杭工法

既製杭工法

既製杭工法はさらに「打ち込み杭工法」と「埋め込み杭工法」に分類されます。

打ち込み杭工法

打ち込み杭工法とは名前の通りハンマーで既製杭を地盤に打ち込んでいく工法で、油圧ハンマやドロップハンマで既製杭を打ち込む打撃工法やバイブロハンマで鋼管杭を打ち込んでいく振動工法があります。

打ち込み杭工法のメリット:施工速度が速く他工法と比べて経済的である

打ち込み杭工法のデメリット:他工法と比べ大きな騒音・振動が生じる

施工方法 (赤字は1級土木頻出事項)

①施工機械の据わる地盤の確認(必要に応じて敷鉄板の敷設や地盤改良を行う)

②杭芯位置に杭を建込み、杭の鉛直性を確認する

★このとき、さげふりやトランシットで必ず2方向から確認する

③ハンマによる打ち込みを行う

杭頭の偏打は杭頭の座屈や杭の傾斜、キャップの損傷に繋がるためハンマと杭の軸は必ず同一線上になるように注意する。

★群杭においては中央部から周辺に打ち込む

もし周辺から中央部に打ち込んだ場合、周囲の杭により締め固まった状態の地盤に杭を打つことになり貫入抵抗が増加するためマシンの故障や杭の座屈・傾斜の原因となる。

また近くに構造物がある場合は構造物の近くから離れる方向に打ち込む

杭の打ち込みを途中で中断すると杭の周面摩擦力が増して打ち込みが不可能となってしまうため原則として連続して打ち込む

④打ち止め

杭の打ち込み終了時に杭の貫入量(S)とリバウンド量(K)を記録し推定される支持力が目標としている支持力に達しているか確認する。このとき一打あたりの貫入量の目安は2mm~5mmである。

鋼管杭の溶接

既製杭の溶接継手はアーク溶接を原則とする

注意点

  1. 溶接継手は原則として板厚の異なる鋼管を結合する箇所には用いない
  2. 品質を確認できるように溶接条件、作業内容、検査結果を記録する
  3. 溶接部が天候の影響を受けないように処置を行う場合を除き、天候の悪い日には溶接作業をしてはならない
  4. 溶接ワイヤはアーク溶接の不安定、ブローホールの原因になるためよく乾燥したものを用いる
  5. 溶接後には有害な外部キズはすべての溶接部で検査する。内部キズは一定頻度で放射線透過試験で検査する。
埋め込み杭工法

埋め込み杭工法はアースオーガを用いて所定の位置まで掘削した杭孔に既製杭を建て込む工法です。

埋め込み杭工法はさらに2種類に分類されます

①プレボーリング工法 ②中堀り杭工法

埋め込み杭工法のメリット:騒音・振動が小さくなる

埋め込み杭工法のデメリット:打ち込み杭工法に比べて支持力が小さくなる

・プレボーリング工法

プレボーリング工法とは掘削した孔内に根固め液、杭周固定液を注入し杭を沈設する工法です。

施工方法 (赤字は1級土木頻出事項)

  1. 掘削液を注入しながらオーガで掘削
  2. 支持層に到達後、拡大掘削し根固め液を注入
  3. 杭周固定液(セメントミルク)を注入しながらオーガの引き抜き
  4. 杭を挿入

施工上の留意点

  • 掘削抵抗を低減するために掘削液を注入しながら掘削する
  • 根固め液は所定の支持力を発揮させるため、先端周辺の砂地盤と攪拌しながら注入する
  • オーガの引き上げは根固め球根の完成後、杭周固定液を注入しながら行う
  • 杭の沈設時は杭周固定液が杭頭部からあふれ出ていることを確認しなければならない
  • 所定の深さ以上に自沈しないよう一定時間所定位置に保持する

・中堀り杭工法

中堀り杭工法とは、先端が開放された既製杭の内空部に挿入されたスパイラルオーガで杭を所定の位置まで沈設したの、打撃貫入を行い必要な支持力を確保する工法です。

施工上の留意点 (赤字は1級土木頻出事項)

  • 掘削時は過度な先掘りをしてはならない、また杭径以上の拡大掘りをしてはならない。ただし、セメントミルク噴出攪拌方式では定められた範囲のみ先掘り,拡大掘りをしてよい
  • 掘削時、オーガ引き上げ時にボイリングの可能性がある場合は杭中空部の孔内水位を地下水位以上に保つ ←杭の中空部に水を注水しながら掘削する
  • 根固め球根築造後のオーガ引き上げ時は吸引現象によるソイルセメントの吸い上げや掘削面の破壊防止のため貧配合の安定液を噴出しながらゆっくり引き上げる
  • 最終打撃の場合、締固められた杭先端の地盤がボイリングによってゆるまないように、オーガ引き抜き時に鋼管杭の先端閉塞効果が確保できる程度の土砂を残しておく
  • 最終打撃を行わない場合、掘削速度を一定に保ち、オーガモータ駆動電流値のデータから掘削抵抗値を読み取り、事前の地盤調査結果と掘削深度を照らし合わせ支持層の確認をする

場所打ち杭工法

場所打ち杭工法とは、地盤に孔を掘削し、その孔内に鉄筋籠の挿入からコンクリート打設までを現場内で行う工法です。

場所打ち杭工法には主に4つの工法があります。

①オールケーシング工法

②アースドリル工法

③リバース工法

④深礎工法

オールケーシング工法

ケーシングチューブを杭の全長にわたり回転圧入し孔内を保護しながらケーシングチューブ内の土砂をハンマグラブで掘削・排土し、支持層に到達した後、鉄筋籠の挿入からコンクリート打設後にケーシングを引き抜いて杭を生成する工法です。

施工方法 (赤字は1級土木頻出事項)

  1. 全周回転機据え付け
  2. ケーシング建込み
  3. ケーシングの回転圧入とハンマグラブによる掘削
  4. ケーシング接続→3~4の繰り返し
  5. 孔底処理したのち鉄筋籠挿入
  6. ケーシングを引き抜きながら打設

施工上の留意点

  • 掘削深度の確認は2か所以上で行う
  • 鉄筋籠挿入の前に一次孔底処理として孔底のスライムをバケットで除去する
  • コンクリート打設時のトレミー菅の下端はコンクリートで押し上げられてくるスライムを巻き込まないようにコンクリート面から2m以上下げておく
  • 鉄筋籠のとも上がり対策としてケーシングと鉄筋籠の間隔は最大粗骨材寸法の2倍以上とする

アースドリル工法

アースドリル工法とは、表層ケーシングを建込み、安定液が孔壁を保護しながらアースドリル(バケットを回転させ地盤を掘削・排土できる機械)で掘削していく工法です。

施工方法

  1. アースドリル機設置
  2. ドリリングバケットを回転させて地盤を掘削し、表層部分を掘削
  3. 表層部分を倒壊しないようにケーシング挿入
  4. 目標地点まで安定液を注入しながらドリリングバケットを回転させて掘削
  5. 一次孔底処理:底さらいバケットで孔底のスライムを除去
  6. 杭を補強するための鉄筋籠を穴に挿入
  7. トレミー菅を用いて二次孔底処理
  8. トレミー管を用いてコンクリート打設
  9. 表層ケーシングを引き抜き、埋め戻し

リバース工法

リバース工法とは、ケーシングと掘削泥水で孔壁を保護しながらドリルピットで地盤を掘削していく工法です。

施工方法

  1. スタンドパイプ建込み
  2. ハンマグラブで掘削
  3. 泥水注入
  4. ドリルピットで支持層まで掘削
  5. 一次孔底処理:底さらいバケットで孔底のスライムを除去
  6. 杭を補強するための鉄筋籠を穴に挿入
  7. トレミー菅を用いて二次孔底処理
  8. トレミー管を用いてコンクリート打設
  9. 表層ケーシングを引き抜き、埋め戻し

深礎工法

深礎工法とは、ライナープレートやモルタル吹付でで土留めを行い孔壁を保護しつつ、孔内を人力または機械によって掘削していく工法です。

 

 

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