【一級土木施工管理技士】軟弱地盤対策について徹底解説!

絶対にわかる1級土木施工管理技士

軟弱地盤とは

粘土、シルトのような微細な粒子の多い土、地下水位が高い土で、構造物による沈下や地震による液状化のリスクが高い地盤のことです。

メカニズム概略図を以下に示します。

◆構造物による沈下

構造物の荷重により地盤内の水が排水され、排水された分の体積収縮が起こり、地盤が沈下していきます。

◆地震による液状化

地震により粒子間の嚙み合わせがなくなり水に浮いた状態になり、地盤が液体のような挙動をする現象です。地上の構造物の沈下や水道、マンホールの浮き上がりなどを引き起こします。

軟弱地盤対策工法

以下に代表的な軟弱地盤対策工法の一覧を示します。

どのような状況で、どのように用いられるか理解していくことが重要です。

各工法について図解で解説していきますので、ボリュームはありますが繰り返し見ることで理解を確実なものにしていきましょう。

軟弱地盤対策工 細目
表層処理工 表層排水工法
サンドマット工法
敷設材工法
表層混合処理工法
置換工法 掘削置換工法
盛土自重強制置換工法
押え盛土工法
盛土補強工法
緩速載荷工法
載荷重工法
バーチカルドレーン工法 サンドドレーン工法
ペーパードレーン工法
サンドコンパクションパイル工法
バイブロフローテーション工法
固結工法 深層混合処理工法
石灰パイル工法
薬液注入工法
軽量盛土工法

表層排水工法

表層排水工法は、地表面にトレンチ(溝)を掘削し、地表水を排水かつ地盤表層部にある地下水をトレンチに導くことで地盤表層部の含水比を低下させる工法です。これによって施工機械が上で作業可能なトラフィカビリティを確保することができます。

トレンチは盛土施工において地下排水溝としての役割を持たせるために透水性の高い砂礫等で埋め戻します。

基礎地盤の表面が地下水位の高い軟弱地盤である際によく用いられる工法です。

サンドマット工法

サンドマット工法とは、軟弱地盤上に盛土をする際に使われる工法で、50cm~100cm程度の砂を敷設して

  • 軟弱層の圧密のための上部排水層の役割
  • 施工機械のトラフィカビリティ確保
  • 盛土施工中の地下水に対する排水層の役割

を目的とする工法です。

施工上の注意点

  • 法尻は仮排水溝を設ける
  • 排水層の役割確保のため50cm以上は75μmフルイ通過分が3%以下の砂を使用する
  • 敷設する砂の厚さは地盤のコーン指数で判断する(以下表参考)
地盤のコーン指数(kN/㎡)  砂の厚さ(cm)
200以上 50
200 ~ 100 50 ~ 80
100 ~ 75 80 ~ 100
75 ~ 50 100 ~ 120
50以下 120

敷設材工法

敷設材工法は、軟弱地盤の表層にジオテキスタイルを敷設し、その上にサンドマットを敷設することにより、サンドマットとジオテキスタイルの引張力により施工機械のトラフィカビリティを確保する工法です。

表層混合処理工法

表層混合処理工法とは、セメントや石灰などの固化材を軟弱地盤と混合して改良することで

  • 地盤支持力の増加
  • 施工機械のトラフィカビリティ確保
  • 安定性の向上
  • 締固め効率の向上

を目的とした工法です。

軟弱地盤が表層(最大2m程度)の場合に用いられる工法です。

置換工法

◆掘削置換工法

掘削置換工法は、軟弱層が比較的浅い場合に、軟弱層を掘削して砂や砕石などの良質土で置き換える工法です。以下の効果を目的に施工されます。

  • 地盤沈下量の減少
  • 安定の確保
  • 液状化防止

施工範囲が局所的である場合に使用することが多い工法で、広い範囲で施工を行うと施工費、材料費、残土処分量が増加することに注意する必要があります。

◆盛土自重強制置換工法

盛土自重強制置換工法は、軟弱地盤に盛土を行い、盛土の自重で軟弱地盤を押し出す工法です。

押え盛土工法

押え盛土工法は、基礎地盤上に盛土することで盛土荷重によりすべり破壊が生じる可能性がある場合に本体盛土に先行して側方に押え盛土を作成し、すべりに対する抵抗力を持たせる工法です。

盛土補強工法

盛土補強工法は、基礎地盤の表面あるいは盛土下層部にジオテキスタイル、金網等の補強材を敷設し、補強材と盛土の一体化によって基礎地盤の側方変位に対して抵抗することで盛土の滑動やすべり破壊を防ぐ工法です。

この工法は軟弱地盤が浅い場合に利用され、深い場合は混合処理工法とともに用いられることがあります。

緩速載荷工法

緩速載荷工法は、軟弱地盤上に盛土する際に、軟弱地盤を破壊しない範囲で盛土荷重を載荷し、圧密に伴い軟弱地盤のせん断強さ発揮させながらゆっくりと盛土を施工していく工法です。

盛土速度は施工前に圧密層の厚さや強度増加特性を把握し、盛土施工中の安定と舗装後の沈下量、全沈下量から設計されます。

施工中は盛土と地盤強度の確認を行い調整しながら施工を進めていきます。

参照:株式会社 補強土エンジニアリング-(圧密・排水工法)緩速載荷工法(圧密・排水工法)緩速載荷工法【関連用語解説 地盤技術】 (reecom.co.jp)

一般的な盛土速度の目安は5(cm/日)程度であり、1日に30cm盛土して6日放置することで日平均5cmを目標にすることが多いです。

載荷重工法

載荷重工法とは、基礎地盤の上に将来建設される構造物の荷重と同等かそれ以上の荷重の盛土を載荷させ、圧密沈下地盤強度の増加をさせた後に盛土を除去し、構造物をつくっていく工法です。

将来つくられる構造物と同等の荷重を載荷する工法をプレローディング工法、それ以上の荷重を載荷する工法をサーチャージ工法といいます。

設計段階では地盤強度と残留沈下量が基準値以内に収まるように盛土荷重を設定する必要があります。

バーチカルドレーン工法

バーチカルドレーン工法は、軟弱地盤中に鉛直方向の排水路を設け、粘性土の排水距離を短くすることで圧密時間を短縮する工法です。

バーチカルドレーン工法は主に透水性の高い砂を打設するサンドドレーン工法穴あき厚紙(カードボード)を打設するペーパードレーン工法に大別されます。

以下に施工概略図を示します。

POINT

圧密に要する時間は排水距離の2乗に比例します。

護岸や埋め立て地でよく利用され、粘性土地盤を対象としています。

施工ではサンドマットを先立って敷設し、サンドドレーン打設後に載荷盛土を行い排水を促進することが多いです。

サンドコンパクションパイル工法

サンドコンパクションパイル工法は締固め砂杭工法ともいい、軟弱地盤中に振動により砂杭を打ち込み軟弱層を締固める工法です。

軟弱地盤に高密度な砂杭が打ち込まれることで、粘性土と砂杭による複合地盤として機能し、砂杭が軟弱地盤上の荷重の多くを負担することで粘性土に作用する荷重が低減し、圧密沈下量が減少します。

砂地盤に使用するとN値を増加させ、地震時の液状化防止効果を持ちます。

バイブロフローテーション工法

バイブロフローテーション工法とは、ゆるい砂地盤を対象とし、バイブロロッドと呼ばれる棒状の振動機を水の噴射と振動によって所定位置まで貫入していき、出来た空隙に砂を投入しながら振動を与え引き抜くことで砂を締め固める工法です。

固結工法

固結工法とは、石灰やセメントなどの固結材を地盤中に混合し地盤強度を高める工法の総称です。固結工法は主に3つに分けられます。

  1. 石灰パイル工法:生石灰を軟弱地盤中に打設し、生石灰が地盤中の水分と反応すると生石灰の約2倍の体積をもつ消石灰になる反応を利用し、含水比の低下体積膨張による地盤密度向上固結した石灰杭による支持杭効果を目的とする工法です。
  2. 深層混合処理工法:石灰、セメント系の土質改良安定材を原位置で攪拌混合し、円柱状の改良体を作成することで短時間での強度確保地盤沈下防止を目的とした工法です。
  3. 薬液注入工法:軟弱地盤中に水ガラスを注入し地盤中の水の透水性を低下、粒子同士の固結させることで、地盤掘削中に発生する湧水防止地山の崩落防止を目的とした工法です。

軽量盛土工法

軽量盛土工法は、通常盛土の代わりに高強度の発泡スチロールで作られたEPSブロックを使用し、盛土事自体を軽量化することで地盤の沈下を抑えすべり破壊抑制、周辺構造物への作用土圧低減を目的とした工法です。

 

 

 

 

 

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