【1級土木施工管理技士】盛土・切土について徹底解説!

絶対にわかる1級土木施工管理技士

盛土

盛土材料について

盛土に相応しい土の性質は主に4つ挙げられます。

  1. 施工機械のトラフィカビリティを確保できる
  2. 圧縮性が小さく、沈下や変形が起こりにくい
  3. 支持力(せん断強さ)がある
  4. 崩落に対する安定性を確保できる
土の種類 盛土材料の評価
岩塊
礫質土
砂質土
シルト
粘性土
高有機質土 ×

〇:盛土に使用できる △:必要な検討,処置のうえ使用できる

一般的に粒径が小さくなると透水性が小さくなり、強度や盛土の安定性の観点で注意が必要となります。

建設発生土の利用

近年では建設発生土の有効利用が進められています。受け入れる建設発生土が盛土条件を満足しない場合もありますので以下の点に注意して検討しなければなりません。

①安定処理

必要なトラフィカビリティが確保できない場合や支持力が確保できない建設発生土は石灰やセメントを用いて安定処理を行う場合があります。

②含水比調整

盛土の最適含水比は締固め試験によって求めることができます。

https://wakaru-civilengineering.com/%e3%80%901%e7%b4%9a%e5%9c%9f%e6%9c%a8%e6%96%bd%e5%b7%a5%e7%ae%a1%e7%90%86%e6%8a%80%e5%a3%ab%e3%80%91%e5%9c%9f%e8%b3%aa%e8%aa%bf%e6%9f%bb-%e5%ae%a4%e5%86%85%e8%a9%a6%e9%a8%93%e5%9c%9f%e8%b3%aa/#toc11 (最適含水比についてはこちら)

もし建設発生土がこの含水比規定値を超えてしまった場合は、極力薄く敷き均したあと、曝気乾燥を行うか、生石灰などの処理材の混合により含水比を下げる場合があります。高含水比の粘性土による盛土を行う場合は一定の高さごとに砂層を設け、排水層をつくる方法も効果的です。

逆に乾燥しすぎている場合は散水車を用いて散水する場合があります。

③擁壁や裏込めに用いる場合

建設発生土を擁壁や裏込めに用いる場合は、地震による地盤沈下が起こらないようにするために礫などの粗粒土や透水性の高い材料が望ましいです。

④岩塊、礫

岩塊や礫は排水、安定性の観点から法尻に使用することが望ましいです。

盛土の施工

基礎地盤処理

盛土と基礎地盤のなじみを改善し一体化を図る必要がある場合

①草木がある場合は腐食による沈下を防ぐために伐開・除根を行う

②表層に軟弱層が存在する場合は、基礎地盤に排水トレンチ(素掘り側溝)を掘り、排水を行う

③基礎地盤の地下水が盛土内に侵入する可能性がある場合はサンドマットを用いて排水を図る

④基礎地盤の勾配が1:4より急な場合は地山を段切りし、基礎地盤と盛土の安定を図る

⑤基礎地盤に大きな段差が多数ある場合は平たんに敷き均してから盛土する

盛土の締固め

盛土施工において以下の5点に注意して施工する必要があります。

①盛土材料の含水比は規定される施工含水比の範囲におさまるようにし、最適含水比に近づくように施工しなければならない。

②降雨の場合は、盛土の内部に雨水が浸透しないように盛土に勾配をつけて締固める。

③傾斜地盤の盛土は、地山からの湧水は法面が不安定にするため、盛土内へ湧水が浸食しないように地下排水溝を設ける。

④傾斜地盤の盛土は、大雨が降った際や大きな地震で不安定になる可能性があるため締固め度を基準より高めに施工する。

⑤自然含水比が最適含水比を大幅に上回り、含水比調整も困難な場合は空気間隙率飽和度による管理を行う。

TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理

従来の盛土締固め管理では、砂置換やRI試験を用いることから、締固め度を測点でしか当たることができず、局所的な管理となってしまいます。

TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理では、必要な締固め度を確保できる巻き出し厚、締固め回数を試験施工によって決定します。その後、人工衛星を利用した測位システム(GNSS)を用いて、決定した巻き出しと転圧回数が実行されているかどうかを重機オペレーターにリアルタイムで情報を与えることで、点的な管理より精度の高い面的な管理が可能となりました。

※TS(トータルステーション)を用いた管理では、現場の既知点にTSを設置し、重機に取り付けられた全周プリズムを追跡することで重機の位置座標からパソコンに施工状況を送信・記録してくれます。

POINT TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理のメリット

①自動的かつ面的な管理をすることで省人化しつつ盛土の品質向上に寄与

試験施工で定めた盛土材料と条件を満たせば現場密度試験を省略できる

ジオテキスタイルによる補強盛土工法

ジオテキスタイルとは?

織布、不織布、ジオグリット(化学繊維を格子状のシートにしたもの)の総称

ジオテキスタイルによる補強盛土工法とは、盛土内に敷設したジオテキスタイルによって、盛土とジオテキスタイルの摩擦力で発生する引き抜き抵抗によって盛土を自立させ、安定性の向上と急勾配の盛土を可能にします。軟弱地盤上の盛土ではトラフィカビリティを確保することに使用されます。

切土

切土に対する標準法面勾配を以下に示します。

地山の土質 切土高 法面勾配
軟岩 1:0.3~1:0.8
硬岩 1:0.5~1:1.2
密実でなく粒度分布の悪いもの 1:1.5~
砂質土 密実なもの 5m以下 1:0.8~1:1.0
5~10m 1:1.0~1:1.2
密実でないもの 5m以下 1:1.0~1:1.2
5~10m 1:1.2~1:1.5
砂利、岩塊混じりの砂質土 密実又は粒度分布の良いもの 10m以下 1:0.8~1:1.0
10~15m 1:1.0~1:1.2
密実でないもの、粒度分布の悪いもの 10m以下 1:1.0~1:1.2
10~15m 1:1.2~1:1.5
粘性土 10m以下 1:0.8~1:1.2
岩塊または玉石混じりの粘性土 5m以下 1:1.0~1:1.2
5~10m 1:1.2~1:1.5

切土の留意点

地山を切土するということは、元々の地山分の重量が除荷されることになるためリバウンドを起こし、クラックに伴う浸水の影響で崩落の危険性があります。また流れ盤と呼ばれる軟弱な地層が法面に存在した場合、抑えの地山がなくなったことで崩落する危険性もあります。

また法面をつたって雨水が流れることも施工計画に織り込む必要があります。流末の排水整備等を整備することでフローした雨水による崩落や施工ヤードの雨水被害を減らすことができます。

切土の法面保護工

切土の法面勾配は上記で示した切土に対する標準法面勾配を基本とし設計していきますが、これに加えて施工条件、地質条件を考慮した設計をしなければなりません。以下の悪条件が考えられる場合は法面勾配の変更、法面保護工、法面排水工等を講じ、対策をしなければなりません。

  • 地滑りが考えられる場合
  • 落下した風化岩が体積した地質(岩錘)
  • 著しい風化がみられる斜面、泥岩など風化のはやい地質
  • 堆積土(海や湖の底で形成された土砂や生物の死骸による土)がある場合
  • 砂質土など浸食に弱い地質
  • クラックが目立つ
  • 地下水が多い

法面保護工の種類

法面保護工は大きく分けて植生工構造物工の2つに大別されます。以下にそれぞれの主な工法と目的を示します。

法面保護工 工法 目的
植生工 種子散布工 浸食防止、早期の全面被覆
厚層基材吹付工
構造物工 金網張工 生育基盤の保持、法面の剥落防止
じゃかご工 浸水による土砂流出の抑制
法枠工 法面の崩落防止
モルタル吹付工 風化、浸食、表流水の浸食防止
ブロック積擁壁工 土圧に対する崩壊防止

また軟岩・粘性土で1/0~1.2より緩い場合、砂・砂質土で1.5より緩い場合は安定勾配と見なすことができるため、植生工だけで対応可能です。

土質 勾配
軟岩、粘性土 1.0~1.2
砂、砂質土 1.5

構造物と盛土の接続部について

橋台・カルバートなどの構造物と盛土の接続部は不同沈下により段差が生じやすいため注意が必要です。

求められる裏込め材

  • 圧縮性が小さい
  • 透水性がよい粗粒土
  • 粒度分布のよい粗粒土(水の侵入による強度低下が少ないから)
  • 塑性指数10以下(水の影響を受けにくいから)

施工上のポイント

  • 巻き出し厚は20~30cm程度で締固めは入念に行う
  • 湧水量が多い場合は透水性の高い砂利などで透水層を設ける

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