【1級土木施工管理技士】土質調査-室内試験(土質試験)について徹底解説!

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土質調査

土質調査とは土工事や構造物施工の前にその地盤の状態を調べるものです。

土質調査では地盤支持力や単位体積重量、含水率、軟弱地盤の判定等を知ることができます。この結果を用いて効率的かつ安全な施工計画を考えます。

土質調査には現地で実施する原位置試験と現場で採取した試料を実験室に持って置き試験を実施する室内試験(土質試験)に分けることができます。

室内試験(土質試験)

室内試験は2つに大別されます。

  1. 土の判別分類のための試験
  2. 土の力学的性質を求める試験

以下に一覧を示します。

目的 試験 試験結果から得られる値 結果の利用
土の判定分類のための試験 土粒子の密度試験 土粒子の密度(ρs),間隙比(e),飽和度(Sr) →締固め度合の確認
含水比試験 含水比(w) →締固め管理
粒度試験 粒度分布,粒度加積曲線 →土の分類
コンシステンシー試験 液性限界(wL),塑性限界(wp),塑性指数(Ip) →盛土材の判定
土の力学的性質を求める試験 せん断試験 せん断抵抗角(φ),粘着力(c) →斜面の安定性,支持力検討
圧密試験 e-log曲線,体積圧縮係数(mv),圧密係数(Cv) →地盤の沈下量計算
透水試験 透水係数(k) →地盤の透水性の検討
締固め試験 含水比-締固め曲線,最大乾燥密度(ρdmax),最適含水比(wopt) →盛土の締固め管理
CBR試験 CBR値 →地盤支持力の検討

土の判定分類のための試験

土粒子の密度試験

土粒子の密度試験は土粒子の単位体積質量を求める試験です。単位体積重量を算出し、その値から間隙比(e)、飽和度(Sr)を算出します。その結果は土の締固め程度を知るために利用されます。

地盤を構成する土は土粒子、水、空気の3つの要素から成り立っています。ここで土粒子部分のみの単位体積重量を求めていきます。

①質量の測定

土を炉乾燥させて土粒子のみの質量msを求めます。

②体積の測定,単位体積重量の算出

ピクノメーターを水で満たしたときの質量maを測定します。次に先ほど炉乾燥させて試料と水で満たしたピクノメーターの質量mbを求めます。

ピクノメーターから溢れた水の体積が土粒子の体積になります。まず溢れた水の質量を次式で求めます。ma+ms-mb(溢れた水の質量)

溢れた水の質量がわかれば水の密度ρwで除すことで溢れた水の体積(=土粒子の体積Vs)がわかります。

最後に最初に求めた土粒子の質量を土粒子の体積で除せば単位体積重量が求まります。

ρs(g/cm3)=ms(g)/Vs(cm3)

この値を用いて間隙比(e)、飽和度(Sr)を次式により算出します。

間隙比e=(ρs/ρd)-1

飽和度Sr=(w*ρs)/(e*ρd)

 

含水比試験

含水比w(%)は土粒子の質量に対する土に含まれる水の質量の割合を表したパラメータです。

湿潤状態にある土を110℃程度の炉乾燥機で炉乾燥させ、土に含まれていた水分量を計測し、炉乾燥させた土の質量で除すことで算出されます。

含水比w(%)=(ma-mb)/(mb-mc) ×100

ma:試料と容器の質量

mb:炉乾燥させた試料と容器の質量

mc:容器の質量

 

粒度試験

土に含まれる様々な大きさの粒子毎の割合を粒度と呼びます。粒度は、とある粒子の土全体における質量比をパーセンテージで表します。粒径によって試験方法が異なります。またこの試験は粒径75mm以下の土を対象としています。

粒径が2mm以上の粒度試験はふるい分析

粒径が2mm未満の粒度試験は沈降分析の後、粒径0.075mm以上の土粒子を水洗いし、ふるい分析を行います。

沈降分析:シリンダー内に粒径2mm未満の土と水を加えて撹拌し懸濁液を作成します。粒径により沈降速度が異なることを利用して、規定の経過時間ごとに懸濁液の比重を測定して各粒径の割合を算出します。

ふるい分析に用いるふるい目は、75 μm、106 μm、250 μm、425 μm、850 μm、2 mm、4.75 mm、9.5 mm、19 mm、26.5 mm、37.5 mm、53 mm、75 mmです。

ふるい分析の結果から粒径加積曲線、土の工学的分類が得られます。

 

コンシステンシー試験

砂や礫などの粗粒土では粒度特性によって土の力学的性質を考えることができますが、粘土など細粒分の多い土ではそれが難しくなります。そこで代替的に登場した考え方がコンシステンシーです。

コンシステンシーとは含水比の変化に伴う土の流動特性です。

この塑性指数Ipが大きいと吸水による影響を受けやすく強度低下しやすい傾向があります。また土の圧縮性が大きくなります

簡易的に試験の説明を示します。

  1. 液性限界試験:試料が1秒間に2回の割合で10mm自由落下できる落下装置を用います。皿の上に試料を乗せ、規定値の幅で溝を入れます。その溝が長さ15mm合流するまで落下させ、そのときの落下回数と含水比を記録します。
  2. 塑性限界試験:液性限界試験で用いた試料をガラス盤の上でこねて、ひも状にします。ひもの太さを直径3mmになるように成形し、3mmになったら再び塊にして、この作業を繰り返します。成形途中に試料が切れ切れになったときに、その試料の含水比を測定します。

この結果は盛土材の判定に利用されます。

土の力学的性質を求める試験

せん断試験

せん断試験は直接せん断試験と間接せん断試験の2つに分けられます。

直接せん断試験:一面せん断試験

間接せん断試験:一軸圧縮試験、三軸圧縮試験

◆一面せん断試験

上下2つに分かれた箱に試料を入れ、垂直荷重を与えながら、下の箱を水平移動することでせん断力を与えます。

①垂直荷重Nを載荷

②載荷台を一定速度で移動

③水平変位と垂直変位、水平変位とせん断応力の2つをグラフに落とす

①~③を複数の垂直応力のパターンで行う

④各垂直応力のパターンで垂直応力σと最大せん断応力τmaxをプロットし、粘着力cとせん断抵抗角φを求めます

◆一軸圧縮試験

一軸圧縮試験は、自立する供試体に拘束圧が作用しない状態で一軸方向のみに圧縮する試験です。

主に粘性土を対象として、供試体高さの1%の圧縮ひずみが生じるように載荷を行います。軸ひずみと圧縮応力から応力-ひずみ曲線を求めて、一軸圧縮強さを求めます。

①載荷台を供試体高さの1%の圧縮ひずみが生じるように上昇させる。

②軸ひずみと圧縮応力のグラフを描く

③軸応力の最大値を一軸圧縮強さquとする

【結果の利用】
非排水せん断強さの推定
Su=Cu=qu/2

粘土地盤の安定や支持力など短期的な検討

◆三軸圧縮試験

三軸圧縮試験は土中の拘束状態を軸方向と側面から等方圧力を加えることで再現しながらせん断試験を行います。

三軸圧縮試験はせん断前に圧密をするかしないか、せん断中に排水をするかしないかで、主に3種類に分類できます。

等方圧力による圧密過程 軸圧縮によるせん断過程
UU試験 非圧密 非排水せん断
CU試験 圧密 非排水せん断
CD試験 圧密 排水せん断

土は本来であれば土圧を受けて存在しているものですので、実験と原位置では強度が異なって出てしまいます。

そこで、土を採取する前の地盤応力状態を再現するために等方圧力による圧密を行うことで、これを再現しています。

→排水条件、圧密条件によって地盤の強度は異なるため、原位置での知りたい情報に合わせて試験を選択することができる。

①UU試験の場合、水圧で等方圧力を加える。CU,CD試験の場合、水圧で等方圧力を加え十分に圧密する

②水圧による等方圧力を加えたまま、軸圧縮させる

①~②を水圧による等方圧力のパターンを変えて実験を行う

③各パターンの等方圧力と軸差応力から求められる最大主応力を用いてモールの応力円を描く

④粘着力cとせん断抵抗角φを求める

圧密試験

土の段階載荷による圧密試験では直径6cm、高さ2cmの供試体を用いて側面を拘束し、多孔板を用い、上下面の排水を許した状態で10,20,40,80,160,320,640,1280(kN/m2)の八段階載荷を標準として各載荷段階で規定の時間(6秒から24時間まで20回)で読み取っていきます。

圧密係数の算出(√t法)

縦軸に沈下量d、横軸に時間√tをとりプロットしていきます。

グラフの直線部と縦軸との交点をd0とします。

d0の傾きに1.15倍した傾きの直線を始点d0から引き直して、グラフとの交点を圧密度90%のときの時間t90、圧密沈下量d90とします。

次式から圧密係数cvを算出します。

cv=0.848(H’/2)^2/2

H’=(H0’+H1′)/2

H1’=(H0′-10*d90/9)

圧密係数cvが大きいほど圧密の進行がはやくなります。

体積圧縮係数mvの算出

各載荷段階における圧縮ひずみΔεと各載荷段階の圧力増加Δpを用いて

mv=Δε/Δp  で算出できます。

沈下量と沈下時間の推定

結果の利用として、圧密係数cvと体積圧縮係数mvは沈下量と沈下時間の推定に用いることができます。

沈下量推定には3種類の方法があります。その中のmv法にあたります。

mv法:沈下量Sf=H*mv*Δp

沈下時間の推定は任意の圧密度に達するまでに必要な時間係数Tvを参照し次式で表されます。

t=Tv*(H^2)/cv

任意の圧密度U Tv
0 0
10 0.0077
20 0.0314
30 0.0707
40 0.126
50 0.197
60 0.286
70 0.403
80 0.567
90 0.848
締固め試験

締固め試験は土の含水比を変えて試料を突き固めたときの乾燥密度と含水比のグラフを描き、最も乾燥密度が大きい点を最大乾燥密度ρdmaxとし、そのときの含水比を最適含水比woptとして、盛土の締固め管理に利用されます。

一般に締固め度(現場乾燥密度/最大乾燥密度)は90%前後を目安とし、最大乾燥密度の90%にあたる範囲におさまる含水比で盛土管理を行います。

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