【1級土木施工管理技士】土質調査-原位置試験について徹底解説!

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土質調査

土質調査とは土工事や構造物施工の前にその地盤の状態を調べるものです。

土質調査では地盤支持力や単位体積重量、含水率、軟弱地盤の判定等を知ることができます。この結果を用いて効率的かつ安全な施工計画を考えます。

土質調査には現地で実施する原位置試験と現場で採取した試料を実験室に持って置き試験を実施する室内試験(土質試験)に分けることができます。

原位置試験

以下に代表的な原位置試験を示します。

  1. サウンディング試験
  2. 物理探査試験
  3. 現場透水試験
  4. 現場密度試験
  5. 載荷試験

サウンディング試験

サウンディング試験とはコーンを直接地盤に貫入させ貫入抵抗を求める試験の総称です。

サウンディング試験の種類を以下に示します。

  1. 標準貫入試験
  2. ポータブルコーン貫入試験
  3. オランダ式二重管コーン試験
  4. スウェーデン式サウンディング試験
  5. ベーン試験
標準貫入試験

ドライブハンマーと呼ばれる63.5kg(±0.5kg)のおもりを高さ76cm(±1cm)の位置から自由落下させ、ボーリングロットの先端に取り付けたサンプラーを30cm貫入させるのに必要な打撃回数(N値)を求め、砂の相対密度粘土のコンシステンシー地盤支持力の判定をします。

以下にN値から推定できるものを示します。

N値から推定できるもの 砂質地盤 相対密度
せん断抵抗角
沈下に対する許容支持力
支持力係数
弾性係数
液状化強度
粘性地盤 コンシステンシー
一軸圧縮強さ(粘着力)
破壊に対する極限及び許容支持力

この試験は本来は砂質地盤に対して用いる試験ですが粘性土地盤でも多く利用されている状況です。

◆N値と砂の相対密度の関係

N値と砂の相対密度の関係は以下になります。

N値 相対密度 イメージ
0~4 very loose 非常に緩い砂 鉄筋が容易に貫入
4~10 loose 緩い砂 スコップで掘削可能
10~30 medium 中間な砂 鉄筋がハンマで貫入できる
30~50 dense 締まった砂 鉄筋がハンマで30cm程度貫入
50~ very dense 非常に締まった砂 鉄筋がハンマで5cm程度貫入

HINT 砂の相対密度の考え方

土質工学における相対密度とは、乾燥密度で評価しにくい砂の締固め度合を判定するために用いられる考え方で、対象となる砂のとりうる間隙比の幅と、最大間隙比(最もゆるいとき)と現状の間隙比との幅を比較したものです。砂の相対密度は次式で表されます。

 

相対密度Dr=(emax-e)/(emax-emin)

 

もし計測する砂が最もゆるいときはe=emaxとなるため相対密度は0となります。また最も密なときはe=eminとなり相対密度は1となります。つまり相対密度は0~1の間で表され、1に近づくほど密な砂と判定することができます。

 

◆せん断抵抗角

せん断抵抗角は次式による算定をします。ここで砂質土の粘着力は0とします。
φ=√(15・N)+15≦45°(ただしN>5)

◆粘土のコンシステンシー

砂や礫などの粗粒土では粒度特性によって土の力学的性質を考えることができますが、粘土など細粒分の多い土ではそれが難しくなります。そこで代替的に登場した考え方がコンシステンシーです。

コンシステンシーとは含水比の変化に伴う土の流動特性です。

わかりやすく言うと、土のどろどろ具合を表す指標になります。下図に粘土のコンシステンシーの簡単な説明を示します。

◆N値と粘土のコンシステンシーの関係

N値 相対密度 イメージ
0~2 非常に柔らかい こぶしが容易に入る
2~4 柔らかい 親指が容易に入る
4~8 中間 努力すれば親指が入る
8~15 硬い 指で凹ませることは可能
15~30 非常に硬い 爪で印がつけられる
30~ 固結 爪で印がつけられない

◆一軸圧縮強さ(粘着力)

qu=12.5N

 

ポータブルコーン貫入試験

先端にコーンを取り付けたロッドを人力で地盤中に押し込んで、その抵抗値からコーン指数(qc)を求めます。

コーン指数qc=(Qc/A) ×10

qc:コーン指数(kN/m2)、Qc:平均貫入抵抗(N)、A:コーンの底面積(cm2)

人力での貫入になるため、主に軟弱地盤(粘性土)や腐植土に用います。

測定値から

  • 土の硬軟
  • 土層構造
  • せん断強さ
  • 建設機械の走行性(トラフィカビリティ)

を求めます。

建設機械の走行性(トラフィカビリティ)について、建設機械にはそれぞれ設置圧が設定されており、各建設機械の走行に必要なコーン指数が定められています。

 

オランダ式二重管コーン試験

機械式コーン貫入試験とも呼ばれ、精密で深い深度まで計測が可能となりますが、大型装置による試験になるため大掛かりで移動が容易でないデメリットもあります。

最初に外管を25cm程度貫入し、コーンを静的に貫入したときのコーン指数を5cmごとに記録していきます。コーン指数から粘着力や換算N値を算出できます。また土の硬軟締まり具合の判定にも用いられます。

単管式では地盤から周面摩擦の影響を受けてしまいますが、二重管では摩擦の影響を受けていない試験結果を得ることができます。そのため5m以上の深い試験に適応されることが多いです。

ポータブルコーン試験同様にコーンの貫入抵抗を求める試験ですが、大きな違いは人力による貫入と油圧による貫入が可能となり、より固い地盤に適応できる点です。人力で押し込む場合は20kN用、油圧で押し込む場合は100kN用があります。

 

スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)

戸建住宅などに現在最も用いられている土質調査方法です。

ロッドの先端にスクリューポイントを取り付け、1kN(100kg)まで段階的におもりを用い載荷を続け、1kNで貫入がとまったあと、ハンドルを回し、ロッド目盛線のある25 cmまで貫入させるのに要した半回転数を求め、荷重と回転数の関係から換算N値地耐力が算出できます。

それらから土の硬軟締まり具合の判定に用いられます。

換算N値の式を以下に示します。

N= 2Wsw+0.067Nsw(砂質土)
N= 3Wsw+0.050Nsw(粘性土)

Wsw : 貫入時の載荷荷重(kN)
Nsw : 貫入量1mあたりの半回転数

この換算N値から地盤の地耐力が算出される流れです。

ベーン試験

ベーン試験とは、ベーンと呼ばれる十字型の羽根をロッド先端に取り付け、地盤中で回転させたときのトルクからせん断強さ粘着力を求める試験です。

軟弱な粘性土やシルトなどの軟弱地盤に使用されます。

せん断強さは一般的に室内で一軸圧縮試験や三軸圧縮試験で求めるものですが、原位置でせん断強さが求められることがベーン試験の大きな特徴です。

物理探査試験

物理探査試験とは、電気探査や弾性波探査を用いて非破壊で地盤中の構造や地下水の水みちを調査する試験です。ボーリング調査の欠点は掘った位置での情報しか得られないことでしたが、物理探査試験では少ない測点で広範囲の探査結果が三次元的に拾えることがメリットです。

弾性波試験とは、弾性波をハンマ打撃等で発生させ、地盤中で屈折して戻ってきた屈折波を受振器で計測し、地盤中の地層の層厚や弾性波の伝わる速度を取得することで地盤構造を推定する試験です。

試験結果からは地盤の弾性波速度Vが得られます。

現場透水試験

現場透水試験とは地盤中に観測孔を設け、孔内の水位を注水または揚水し変化を加え、水位の回復過程を計測する方法が代表的です。 ※ほかにも様々な方法があります

この試験では透水係数kが得られます。

これにより現場における掘削時の湧水量の算定排水工法の検討・計画が可能になります。

現場密度試験

現場密度試験は土木工事において、盛土の締固めが適正に行われているかを管理するために行われます。現場密度試験によって土の密度を測定し、所定の締固め基準を満たしているかどうかを確認します。(参照する規定によりますが一般に締固め度90~92%程度であることを確認します)

実務で用いる現場密度試験は主に

  1. 砂置換法
  2. RI(ラジオアイソトープ)計器による方法

の2つです。

砂置換法

現場で試験したい箇所に試験孔を削孔し、試験用砂で試験孔を埋め戻して土の密度を測定する方法です。

試験の流れは以下のようになります。

①試験孔削孔

②削孔して取り出した土の重量、含水比を測定

③試験用砂をジャー(砂を投入する器具)を用いて試験孔に埋め戻し

④埋め戻し前と埋め戻し後の重量差を計測し、試験孔体積(取り出した土の体積)を算出

⑤取り出した土の重量を試験孔体積(取り出した土の体積)で除して土の密度を算出

締固め管理や転圧回数の決定に利用

 

RI(ラジオアイソトープ)計器による方法

RI(ラジオアイソトープ)計器による方法とは、放射性同位体(ラジオアイソトープ)であるガンマ線や中性子線の散乱吸収減少を利用して土の密度と水分量を同時に計測する方法です。

原理の簡単な説明ですが、線源棒から中性子が放出されて水素原子核と衝突したときのみ熱中性子と呼ばれる中性子に変化します。RI計器により熱中性子の量を計測することで水素原子の量を知ることができるため土の含水量を算出できるといった原理です。密度に関しては、線源から発生するγ線による応答を計測し、材料による校正式を用いて密度が算出されます。

砂置換法に比べ比較的短時間で試験を行うことができることが大きなメリットです。

土の湿潤密度乾燥密度締固め度含水比が求められます。これらの試験結果は盛土の締固め管理にも利用されます。

載荷試験

載荷試験とは、ひとことで言うと地盤の支持力を原位置で直接求めるときの試験になります。

載荷試験には以下の2つがあります。

  1. 平板載荷試験
  2. 現場CBR試験
平板載荷試験

平板載荷試験は構造物をつくる際の地盤が構造物を安定、安全に支持できるか調べるときに行います。設計値以上の地盤の地耐力を持っているか調べるための試験です。

得られた試験結果は締固め施工管理支持力判定に用いられます。

①直径30㎝の載荷板を設置

②反力の用意(重機や山留材)

③ジャッキ、荷重計、変位計の設置

④最大荷重を8段階程度に分け段階的に載荷(最大載荷圧力は、設計支持力の3倍に設定します。また荷重保持時間は30分です)

⑤経過時間と荷重、沈下量の結果から極限支持力地盤反力係数(K値)を求める

現場CBR試験

CBR(California Bearing Ratio)の略で原位置で路床や路盤の支持力(CBR値)を測定する試験です。現場では締固め度の判定に用いられます。(カリフォルニア州発祥)

直径5cmの貫入ピストンを土の中に2.5mm貫入させたときの貫入抵抗を測定します。その時の貫入抵抗を標準荷重強さと比較して何%であるかを算出したものがCBR値です。

CBR値=直径5cmの貫入ピストンを土の中に2.5mm貫入させたときの貫入抵抗 / 標準荷重強さ(6.9MN/m2)

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