【1級土木施工管理技士】土留め工について徹底解説!

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土留め工

地盤の掘削を行うとき、その地盤に適した法勾配を確保できないとき、掘削深さ1.5mを超える場合は土留め工を施さなければなりません。

土留め工の主な4つの工種は以下になります。

  1. アンカー式土留め
  2. 控え杭タイロッド式土留め
  3. 自立式土留め
  4. 切梁式土留め

アンカー式土留め

アンカー式土留め工法は、土留めアンカーの定着掘削地盤の抵抗で土留め壁を支持する工法で、掘削周辺にアンカー打設が可能な敷地が必要です。掘削面内に切梁が存在しないため機械掘削が容易に行えます。また偏土圧がかかる場合や様々な形状の掘削面にも対応して施工できる利点があります。

施工手順

  1. 削孔位置に削孔機を設置
  2. アンカーの挿入
  3. グラウト注入
  4. アンカーをジャッキで緊張
  5. 頭部処理

アンカー式土留めは3つの構成に分けて考えます。

  • アンカー頭部:テンドン定着具と引張を構造物に伝える支圧板
  • 引張部:アンカー頭部からの引張力をアンカー体に伝達する役目。テンドンとテンドンの防食を防ぐ被覆材から成る。
  • アンカー体:引張力をグラウトを介して地盤に伝達する役目。引張力を摩擦力によって地盤に伝える。

※テンドンとは引張材であるPC鋼より線のこと

控え杭タイロッド式土留め

自立式土留めでは土圧による変位が大きくなってしまう場合に用いられる工法で、控え杭と土留め壁をタイロッドで固定し、タイロッドと地盤の抵抗で土留め壁を支持する工法です。

土留め壁の背面地盤中にH形鋼や鋼矢板などの控え杭を設置し、土留め壁と控え杭をタイロッドでつなげます。タイロッドは張力によって構築物を安定化させる棒状の構造材です。

自立式土留め

自立式土留めは、切ばりや腹起しなどの支保工を使わずに、地盤の抵抗力で土留め壁を自立させる工法です。この工法は、比較的良質な地盤で浅い掘削を行う場合に適しています。掘削面内に支保工がないため、掘削作業が容易であり、支保工がない分、土留め壁の変形が大きくなることがあります

切梁式土留め

切梁式土留めは、掘削された地盤の土圧を支えるために、切梁と呼ばれる水平部材を使用する工法です。この工法は掘削面積が比較的狭所で、地盤の土圧が大きい場合に適しています。

施工手順

  1. 地盤の掘削
  2. 腹起しの設置
  3. 切梁の設置   以降1~3繰り返し

土留め支保工の構造について

■土留め壁

  1. 親杭横矢板親杭: H形鋼などの鋼材を使用し、掘削面に垂直に打ち込まれます。親杭は土圧を受け止めるための主要な構造要素です。横矢板: 親杭の間に設置される板で、土圧を分散させる役割を果たします。木材や鋼材が使用されることが多いです。
  2. 鋼矢板:主に河川護岸、港湾岸壁、土留め、止水壁、耐震補強などの用途で使用されます。鋼矢板には、U形、ハット形、直線形などの形状があり、それぞれの用途や施工条件に応じて使い分けられます。
  3. ソイルセメント柱列山留め壁工法(SMW工法):土とセメントを混合して地中に連続した壁を形成する工法です。この工法は、特に地下水が多い地盤や深い掘削が必要な場合に適しています。
  4. 連続地中壁:地下に連続した鉄筋コンクリート壁を構築する工法で、主に大規模な地下構造物や基礎工事に使用されます。この工法は、掘削溝に安定液を用いて掘削し、鉄筋籠を挿入してコンクリートを打設することで壁を形成します。

1親杭横矢板参考図

2鋼矢板参考図

3 SMW工法参考図

4連続地中壁参考図

引用:合格ロケット(12.土工事・山留工事 | 合格ロケット)

■土留め支保工各部材について

①土留め壁(親杭横矢板、鋼矢板、柱列式連続壁)
②切梁:腹起しに作用する応力に抵抗する水平部材
③腹起し:土留め壁に作用する土圧を切梁に伝達するための部材
④火打ち:腹起しの隅角部や切梁を線対称に45°で取り付ける補強部材
⑤中間杭:掘削幅が広いとき切梁の座屈防止、上部の覆工桁からの鉛直荷重を受け持つ部材

■土留め支保工施工上の留意点について

掘削時の注意点

  1. 端部から中央に向かって掘削を行う
  2. 左右対称に掘削を行う

支保工組立時の注意点

  1. 腹起しの継手は弱部となるため切梁や火打ちの付近に設ける
  2. 切梁の継手中間杭の付近に設け、ジョイントプレートを装着する
  3. ジャッキは千鳥配置にする
  4. 切梁が数段に及ぶ場合、先行して設置した切梁にボルトのゆるみが生じることがあるので、増し締めする
  5. 応力度が不足している場合は段数を増やし、切梁にプレロードを導入する

■掘削底面の安定

掘削底面に影響を及ぼす現象

①盤ぶくれ:盤ぶくれは、掘削底面の下に存在する地下水の圧力が掘削底面を押し上げる現象です。特に、難透水層(粘性土地盤や細粒砂質地盤)がある場合に発生しやすいです。盤ぶくれが発生すると、掘削底面が浮き上がり、最終的には掘削面が破壊されることがあります。

対策

①ディープウェルやウェルポイント工法を用いて、地下水位を低下させる
②土留壁を難透水層まで十分な深さに設置し、地下水の圧力を抑える
③掘削底面の地盤を改良し、透水性を低下させる

②ヒービング:ヒービングは、掘削底面の破壊現象の一種で、特に粘性土地盤のような軟弱地盤で発生します。土留め背面の土の重量や地表面荷重などにより、掘削底面が押し上げられる現象です。これにより、土留め壁が倒壊したり、背面の地盤が沈下・陥没することがあります。

対策

①土留め壁の根入れ長を長くし、強度(剛性)を増す
②地盤改良: 掘削底面下を地盤改良して、土のせん断強さを増やす
③土留壁の背面地盤を切り下げてヒービングを減少させる

③ボイリング:ボイリングは、掘削作業中に地下水が水頭差によって上昇して掘削底面から噴出する現象です。特に砂質地盤で発生しやすく、掘削底面が破壊されることがあります。

対策

①ディープウェルやウェルポイント工法を用いて、地下水位を低下させる
②土留壁を十分な深さに設置し、地下水の圧力を抑える
③掘削底面の地盤を改良し、透水性を低下させる

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