■総則
発注者及び受注者は、この約款に基づき、設計図書(別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約を履行しなければならない。受注者は、契約書記載の工事を契約書記載の工期内に完成し、工事目的物を発注者に引き渡 すものとし、発注者は、その請負代金を支払うものとする。仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。■権利義務の譲渡等
受注者は、この契約により生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させてはならない。ただし、あらかじめ、発注者の承諾を得た場合は、この限りでない。受注者は、工事目的物並びに工事材料のうち検査に合格し部分払のための確認を受けたものを第三者に譲渡し、貸与し、又は抵当権その他の担保の目的に供してはならない。ただし、あらかじめ、発注者の承諾を得た場合は、この限りでない。■一括委任又は一括下請負の禁止
受注者は、工事の全部若しくはその主たる部分又は他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。
■現場代理人及び主任技術者等
現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、請求の受理、決定及び通知並びにこの契約の解除に係る権限を除き、この契約に基づく受注者の一切の権限を行使することができる。発注者は、前項の規定にかかわらず、現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限
の行使に支障がなく、かつ、発注者との連絡体制が確保されると認めた場合には、現場代理人
について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。受注者は、第二項の規定にかかわらず、自己の有する権限のうち現場代理人に委任せず自ら
行使しようとするものがあるときは、あらかじめ、当該権限の内容を発注者に通知しなければ
ならない。
現場代理人、監理技術者等(監理技術者、監理技術者補佐又は主任技術者をいう。以下同じ。)
及び専門技術者は、これを兼ねることができる。
■工事材料の品質及び検査等
工事材料の品質については、設計図書に定めるところによる。設計図書にその品質が明示されていない場合にあっては、中等の品質を有するものとする。
受注者は、設計図書において監督員の検査を受けて使用すべきものと指定された工事材料については、当該検査に合格したものを使用しなければならない。この場合において、当該検査に直接要する費用は、受注者の負担とする。
受注者は、工事現場内に搬入した工事材料を監督員の承諾を受けないで工事現場外に搬出してはならない。
受注者は、前項の規定にかかわらず、検査の結果不合格と決定された工事材料については、当該決定を受けた日から〇日以内(契約約款で定められた日数)に工事現場外に搬出しなければならない。
■監督員の立会い及び工事記録の整備等
受注者は、設計図書において監督員の立会いの上施工するものと指定された工事については、当該立会いを受けて施工しなければならない。
受注者は、前二項に規定するほか、発注者が特に必要があると認めて設計図書において見本又は工事写真等の記録を整備すべきものと指定した工事材料の調合又は工事の施工をするときは、設計図書に定めるところにより、当該見本又は工事写真等の記録を整備し、監督員の請求があったときは、定められた日に提出しなければならない。
■支給材料及び貸与品
監督員は、支給材料又は貸与品の引渡しに当たっては、受注者の立会いの上、発注者の負担において、当該支給材料又は貸与品を検査しなければならない。この場合において、当該検査の結果、その品名、数量、品質又は規格若しくは性能が設計図書の定めと異なり、又は使用に適当でないと認めたときは、受注者は、その旨を直ちに発注者に通知しなければならない。
受注者は、設計図書に定めるところにより、工事の完成、設計図書の変更等によって不用となった支給材料又は貸与品を発注者に返還しなければならない。
■工事用地の確保等
発注者は、工事用地その他設計図書において定められた工事の施工上必要な用地を受注者が工事の施工上必要とする日までに確保しなければならない。
■設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等
受注者は、工事の施工部分が設計図書に適合しない場合において、監督員がその改造を請求したときは、当該請求に従わなければならない。
監督員は、受注者が規定に違反した場合において、必要があると認められるときは、工事の施工部分を破壊して検査することができる。
■条件変更等
受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)
設計図書に誤謬又は脱漏があること。
設計図書の表示が明確でないこと。
工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
■設計図書の変更
発注者は、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
■工事の中止
①工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
②発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
③発注者は、前二項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
■受注者の請求による工期の延長
受注者は、天候の不良、規定に基づく関連工事の調整への協力その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、その理由を明示した書面により、発注者に工期の延長変更を請求することができる。
■工期の変更方法
工期の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から〇日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するも
のとする。ただし、発注者が工期の変更事由が生じた日(第二十二条の場合にあっては発注者
が工期変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては受注者が工期変更の請求を受けた日)か
ら〇日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に
通知することができる。
■発注者の請求による工期の短縮等
発注者は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に請求することができる。
■臨機の措置
受注者は、災害防止等のため必要があると認めるときは、臨機の措置をとらなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、受注者は、あらかじめ監督員の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りでない。
受注者が規定により臨機の措置をとった場合において、当該措置に要した費用のうち、受注者が請負代金額の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については、発注者が負担する。
■第三者に及ぼした損害
①工事の施工について第三者に損害を及ぼしたときは、受注者がその損害を賠償しなければならない。ただし、その損害のうち発注者の責めに帰すべき事由により生じたものについては、発注者が負担する。
②前項の規定にかかわらず、工事の施工に伴い通常避けることができない騒音、振動、地盤沈下、地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは、発注者がその損害を負担しなければならない。ただし、その損害のうち工事の施工につき受注者が善良な管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては、受注者が負担する。
■不可抗力による損害
①工事目的物の引渡し前に、天災等、発注者と受注者のいずれの責めにも帰すことができないものにより、工事目的物、仮設物又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは建設機械器具に損害が生じたときは、受注者は、その事実の発生後直ちにその状況を発注者に通知しなければならない。
②発注者は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに調査を行い、同項の損害の状況を確認し、その結果を受注者に通知しなければならない。
③受注者は、前項の規定により損害の状況が確認されたときは、損害による費用の負担を発注者に請求することができる。
④発注者は、前項の規定により受注者から損害による費用の負担の請求があったときは、当該損害の額及び当該損害の取片付けに要する費用の額の合計額のうち請負代金額の百分の一を超える額を負担しなければならない。ただし、災害応急対策又は災害復旧に関する工事における損害については、 発注者が損害合計額を負担するものとする。
■検査及び引渡し
①受注者は、工事を完成したときは、その旨を発注者に通知しなければならない。
②発注者は、前項の規定による通知を受けたときは、通知を受けた日から十四日以内に受注者
の立会いの上、設計図書に定めるところにより、工事の完成を確認するための検査を完了し、
当該検査の結果を受注者に通知しなければならない。この場合において、発注者は、必要があ
ると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査す
ることができる。
③前項の場合において、検査又は復旧に直接要する費用は、受注者の負担とする。
④ 発注者は、第二項の検査によって工事の完成を確認した後、受注者が工事目的物の引渡しを
申し出たときは、直ちに当該工事目的物の引渡しを受けなければならない。
⑤ 発注者は、受注者が前項の申出を行わないときは、当該工事目的物の引渡しを請負代金の支
払いの完了と同時に行うことを請求することができる。この場合においては、受注者は、当該
請求に直ちに応じなければならない。
⑥ 受注者は、工事が第二項の検査に合格しないときは、直ちに修補して発注者の検査を受けな
ければならない。この場合においては、修補の完了を工事の完成とみなして前各項の規定を適
用する。
公共工事標準請負契約約款から抜粋
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