コンクリートの配合設計
配合設計とは
コンクリートの配合設計とは、構造物の設計で定められた特性値及び作業する上でのワーカビリティを確保し、単位水量を最小にするように各使用材料の単位量を設定することです。
◆配合設計の手順
①構造物の設計段階で定められた条件に基づき目標性能を設定する
目標性能:ワーカビリティ、コンクリートの耐久性、設計基準強度
②配合条件の設定
粗骨材最大寸法、スランプ、配合強度、水セメント比、空気量の諸条件を設定する
③試し練り
実際に使用する材料を選定し、設定した配合が所要の性能を満足するか練り混ぜて確認する作業を「試し練り」といいます
④調整
試し練りの結果、単位水量が多く必要になった場合は骨材の粒度や実積率を変更するなどして調整していきます
以下に配合設計のフローチャートを示します
配合設計がコンクリートのスランプに及ぼす影響
配合の修正に関する問題はコンクリート技士の超頻出問題です
配合設計における細骨材の役割はコンクリートの粘性をコントロールすることです
細骨材率を大きくすると、ワーカビリティは向上するが所要のスランプを得るための単位水量が増加します。
細骨材率を小さくすると、所要のスランプを得るのに必要な単位水量は減るがワーカビリティを損ないます。
単位水量が増加すると水セメント比も増加するのでコンクリートの強度、耐久性、水密性の低下に繋がります。
よって細骨材率は所要のワーカビリティーが得られる範囲で単位水量を少なくするように試験によって定めます。
【例題】同一のスランプを得るための配合修正に関する問題です。
①水セメント比を小さくすることになったので、細骨材率を小さくした
水セメント比を小さくする→スランプ小 よって同一のスランプを得るために細骨材率を小さくする:適当〇
②粗骨材を川砂利から砕石に変えることになったので、細骨材率を小さくした
粗骨材を川砂利から砕石に変える→形状から実積率が下がるので必要なモルタル分が多くなる よって細骨材率は大きくする:不適当×
③空気量を大きくすることになったので。細骨材率を小さくした
空気量を大きくする→スランプ大 よって細骨材率は大きくする:適当〇
④粗粒率の小さい細骨材を使用することになったので、細骨材率を小さくした
粗粒率の小さい細骨材使用→スランプ小 よって細骨材率は小さくする:適当〇
配合設計の計算
配合設計の計算に①細骨材率方式②単位粗骨材かさ容積方式の2種類があります
◆細骨材率方式
名前の通り細骨材率から各単位量を算出していく計算方法です
粗骨材の最大寸法 | スランプ | 空気量 | 水セメント比 W/C | 細骨材率 s/a | 単位量(kg/m3) | |||
mm | cm | % | % | % | 水 W | セメント C | 細骨材 S | 粗骨材 G |
20 | 11 | 5.0 | 50.0 | 44.3 | 176.0 |
条件:セメントの密度3.15(g/cm3) 細骨材の表乾密度2.6(g/cm3) 粗骨材の表乾密度2.7(g/cm3)
コンクリート1m3あたり各材料の単位量 (重量kg)
水(Water):単位水量
セメント(Cement):単位セメント量
細骨材(Sand):単位細骨材量
粗骨材(Grabel):単位粗骨材量
①セメントの単位量を求める
W/C 50%より176/C=0.50 C=352kg
②全骨材容積aを算出する
1m3(1000L)のコンクリート中に対しての全骨材容積aを求める
水:水の比重は1なので、1000L中に176kgある。176(kg)/1(kg/L)=176L
セメント:同様に352/3.15=111.75L
空気量:5%なので1000L*0.05=50L
a=1000-(176+111.75+50)=662L
③骨材の単位量を求める
sv/662=0.443 sv=293L 293(L)*2.6(kg/L)=762kg
gv=662-293=369L 369(L)*2.7(kg/L)=996kg
細骨材率s/aは細骨材容積sv/全骨材容積avで表される容積の比
◆単位粗骨材かさ容積方式
単位粗骨材かさ容積から各単位量を算出していく計算方法です
空気量 | 水セメント比 W/C | 細骨材率 s/a | 単位量(kg/m3) | |||
% | % | % | 水 W | セメント C | 細骨材 S | 粗骨材 G |
4.5 | 50.0 | 170.0 |
セメントの密度3.15(g/cm3) 細骨材の表乾密度2.6(g/cm3) 粗骨材の表乾密度2.65(g/cm3) 粗骨材の単位かさ容積0.6(m3/m3)
粗骨材の実積率58%
①セメントの単位量と容積を求める
W/C 50%より170/C=0.50 C=340kg 340/3.15=107.94L
②単位かさ容積と実積率から粗骨材の容積と単位量を求める
単位かさ容積0.6(m3/m3)なのでかさ容積として600L測り取られていることを意味する
実積率が58%なので粗骨材の容積は600L*0.58=348L
348(L)*2.65=922kg
③細骨材の単位量を求める
細骨材体積=1000-(348+170+107.94+45)=329L
細骨材率s/a=329/(329+348)=48.6%
細骨材の単位量S=329*2.6=855kg
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