混和材料とは
混和材料は「セメント、水、骨材以外の材料でコンクリートに特別な性質を与えるために、打ち込みを行う前までに必要に応じて加える材料」と定義されている。
混和材料は使用量の大小により混和剤と混和材に分けられる。
使用量が多くその容積をコンクリートの容積に加えるものを混和材
使用量が少なくその容積をコンクリートの容積に加えないものを混和剤
混和材料を加えることで、ワーカビリティ改善、硬化反応、耐久性の改善等に寄与する
混和材料について一覧で示します。
★混和材★(その容積をコンクリートの容積に加える)
1フライアッシュ
2高炉スラグ微粉末
3シリカヒューム
4膨張材
5石灰石微粉末
★混和剤★(その容積をコンクリートの容積に加えない)
1AE剤
2減水剤/AE減水剤
3高性能減水剤/高性能AE減水剤
4その他(促進剤、遅延剤、起泡剤、流動化剤、増粘剤、防錆剤、収縮低減剤)
混和材
混和材ーフライアッシュ
石炭火力発電所で微粉炭を燃焼したときに溶融した灰が冷却されてガラス質状の球状になったものを集塵機で収集した微粒子
フライアッシュは球状であり。コンクリートと混ざることでボールベアリング効果を発揮する。
ボールベアリング効果とは、球状粒子が互いの回転を補う形で摩擦抵抗を減らすことでコンクリートの流動性を高め、ワーカビリティを向上させる作用
フライアッシュはセメントと比較し反応が遅いので水和熱低減に寄与する
またポゾラン反応生成物がコンクリートの空隙を充填し長期強度の増進、水密性、耐久性が向上する
またポゾラン反応により水酸化カルシウムが消費されることよりアルカリシリカ反応抑制に寄与する
しかし水酸化カルシウムの消費はpH低下による中性化進行を進めてしまうことに注意
また未燃焼炭素含有量が多いとAE剤による空気連行量が減少するためAE剤の量を増やす必要がある。
混和材ー高炉スラグ微粉末
溶鉱炉でせん(銑)鉄と同時に生成する溶融スラグを冷却し、微粉末にしたもの
急冷することで結晶化せず、ガラス質で反応しやすくなる。
高炉スラグ微粉末は鎖状になったSiO2やAl2O3、CaO、MgOで構成されている。
高炉スラグ微粉末もフライアッシュ同様にセメントと比較し反応が遅いので水和熱低減に寄与する。
またアルカリの供給源となるセメントを高炉スラグ微粉末に一定量置換しているのでアルカリシリカ反応の抑制にも寄与する。
長期間、水と接触すると結合が切断されて自然に硬化する性質がある→潜在水硬性
潜在水硬性の能力はセメントなどの高アルカリと混合することでより反応が促進される。
高炉スラグ微粉末とセメントの反応生成物であるカルシウムシリケート水和物(C-S-H)はコンクリート中の空隙を充填し長期強度増加が期待できる。
またコンクリートの緻密化に加え塩化物イオンを固定化する効果をもち塩化物イオンの浸透を防ぐことができる。
しかしフライアッシュ同様に水酸化カルシウムの消費はpH低下による中性化進行を進めてしまうことに注意
混和材ーシリカヒューム
シリカヒュームはフェロシリコンやその合金を製造する際に発生する排ガスを集塵機で収集して得られる材料である。
主成分はSiO2であり、球形の微粒子で平均直径は0.1μmである。
これはたばこの粒子とほぼ同じです。
フライアッシュ同様にポゾラン反応とボールベアリング効果を有している。
またシリカヒュームは超微粒子であるのでセメント粒子に入り込む形で充填されていき、高い強度、水密性、化学抵抗性を発揮する→マイクロフィラー効果
超高強度コンクリートの生成にはシリカヒュームは必須の混和材。
水酸化カルシウム消費によりアルカリシリカ反応抑制にも寄与する。
混和材ー膨張材
コンクリートに混合することで、コンクリートを膨張させ収縮を抑制し、収縮ひび割れを低減するために用いられる。
膨張材は2種類に分けられる
1エトリンガイトを生成させて膨張させるタイプ
2水酸化カルシウムの結晶生成により膨張させるタイプ
膨張材の過度な添加はコンクリートの自由膨張を引き起こし強度低下やひび割れの要因となるので注意する
混和材ー石灰石微粉末
炭酸カルシウムからなる石灰石を微粉砕したもの
化学的に反応性が低く、水和熱の抑制効果がある
また流動性の改善や材料分離抵抗性が期待できる
→高流動コンクリートにおいて、所要の材料分離抵抗性を確保するためによく用いられる
混和材として用いる石灰石微粉末は配合設計では結合材とみなさない
結合材:水と反応してコンクリートの強度発現に寄与するものの総称(セメント、フライアッシュ、高炉スラグなど)
混和剤
混和剤の一覧を以下に示します。
主な混和剤一覧 | |
①AE剤 | AE(Air Entraining )剤はコンクリートに微細な空気泡を均一に連行する。【注意】乾燥収縮には寄与しない |
②減水剤 | 界面活性作用で静電気を発し、セメント粒子を分散させ、セメントの分散に必要な単位水量を低減する |
③AE減水剤 | AE減水剤はAE剤と減水剤の両方の効果を併せ持つ混和剤で最も多く使用される万能な混和剤 |
④高性能減水剤 | 普通の減水剤よりも高い減水率を有するが比較的短時間で分散が低下しスランプロスが生じる |
⑤高性能AE減水剤 | 最も高い減水効果があり高性能減水剤にAE剤の効果を付与し欠点を補ったもの |
⑥流動化剤 | 高性能減水剤を主成分とし練り混ぜた後のコンクリートに後添加し分散効果を与える |
⑦収縮低減剤 | 硬化中のコンクリートの水分蒸発に伴う毛細管張力を低下させ乾燥収縮と自己収縮を低減する |
⑧硬化促進剤 | 硬化に必要な水和反応を促進させ早期に強度を発現させる |
⑨遅延剤 | セメントと水の接触を一時的に遮断することで水和反応を遅らせる |
混和剤ーAE剤
AE(Air Entraining )剤はコンクリートに微細な空気泡を均一に連行する混和剤です。
連行された空気のことをエントレインドエアと呼び、この空気泡は球状のためボールベアリング効果があります。
寒冷地において、コンクリート中の水分が凍結する直前にエントレインドエアに取り込まれるので凍害対策に寄与します。
【注意】AE剤は乾燥収縮には寄与しません。引っ掛け問題に注意です。
混和剤ー減水剤/AE減水剤
減水剤とは界面活性作用で静電気を発し、セメント粒子を分散させる混和剤です。
セメントの分散に必要な単位水量を低減することができるので減水剤と呼ばれます。
AE減水剤はAE剤と減水剤の両方の効果を併せ持つ混和剤で最も多く使用される万能な混和剤です。
混和剤ー高性能減水剤/高性能AE減水剤
高性能減水剤は普通の減水剤よりも高い減水率を有している混和剤ですが比較的短時間で分散が低下しスランプロスが生じてしまう欠点があります。
高性能AE減水剤はこの高性能減水剤にAE剤の効果を付与し、高性能減水剤の欠点を補ったものです。
★過去出題歴ありの発展知識★
高性能AE減水剤には収縮低減剤と一体化した収縮低減タイプも存在する
混和剤ー流動化剤
高性能減水剤を主成分とし練り混ぜた後のコンクリートに後添加し分散効果を与えます。
打設中にスランプロスしたコンクリートに後添加し、一時的にスランプ向上させる製品(レオパック等)があります。
混和剤ー収縮低減剤
コンクリートの硬化中に水の表面張力を低下させ、水の蒸発に伴う毛細管張力を低減させることで乾燥収縮や自己収縮を低減します。
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