【コンクリート技士】各種コンクリートの施工について徹底解説!

各種コンクリート

寒中コンクリート

日平均気温が4℃以下のときに打設するコンクリートを寒中コンクリートといいます。

コンクリートは材齢初期に低温にさらされることで水和反応遅延による凝結の遅れとそれに伴う強度発現の遅延のおそれがあります。そのため凝結硬化の初期に凍結を起こさせないような施工方法をとる必要があります。

また凍結融解に対する抵抗性を付与しておくことも重要です。

◆材料

ポルトランドセメント、混合セメントB種を使用します。強度発現のため早強ポルトランドセメントを用いる場合もあります。

混和剤はAE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤を用います。

材料の温度を上げることは有効ですが、加熱したセメントを使用すると、加熱したセメントと水が水和反応する際に急結を起こし品質不具合を起こすリスクがあるため、セメントの加熱は禁止です。

また乾燥していない骨材を使用し、直火で加熱することは禁止されています。

◆配合

AEコンクリートを原則とします。

骨材と水は40℃以下で使用します。

◆施工

打ち込み時のコンクリート温度は5℃を下回らないようにします。

荷下ろし地点では10~20℃を保つようにします。

◆養生

養生中のコンクリート温度は5℃以上に保ちます。

養生期間は圧縮強度が5N/mm2以上になるまでとします。

養生が完了しても一気に表面が冷気にさらされると温度ひび割れが発生する可能性があるため徐々に養生を解除していく必要があります。

暑中コンクリート温度

日平均気温が25℃以上のときに打設するコンクリートを暑中コンクリートといいます。

コールドジョイントプラスチック収縮ひび割れのリスクが増加します。

◆材料

早強、超早強ポルトランドセメントは水和熱が大きくなるため使用してはいけません。

水と骨材の温度は極力低いものを使用します。

混和剤は高性能AE減水剤や遅延剤を用いることが有効です。

◆配合

単位水量と単位セメント量をなるべく小さくするように設計します。

水分が蒸発することで空気が連行されにくくなるため、AE剤の添加量を多めに設計します。

◆施工

荷下ろし時点の温度を35℃以下になるように計画しなければなりません。また練り混ぜから打ち込み終了までの時間は1.5時間とし、コールドジョイント防止の観点からうち重ね間隔は2時間以内とします。

◆養生

水分の急激な蒸発はプラスチック収縮ひび割れを引き起こします。これを防止するためすみやかに散水や覆いを行い、湿潤状態を保ちます。

マスコンクリート

マスコンクリートとは断面寸法の大きなコンクリートをいいます。

具体的には断面厚が80~100cm以上、下端が拘束された壁で厚み50cm以上のコンクリートを指します。

マスコンクリートの計画では断面寸法の大きなことから温度ひび割れに注意して考えます。

◆材料

水和熱低減の観点から中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントを使用します。

◆配合

単位セメント量を減らし水和熱を低減させます。

◆施工

温度ひび割れ対策

  • 練り混ぜ水に井戸水や冷却水を使用する
  • 骨材を冷却する
  • 水の一部をフレーク状の氷で代用する
  • 一回の施工高を低くする、打設区画を小さくする
  • コンクリート中にパイプを仕込み、打設後に冷却水を通水する(パイプクーリング)
  • ひび割れ誘発目地を設置する

水中コンクリート

水中コンクリートとは海中に基礎を打設する場合や場所打ち杭、連続地中壁などに用いられる、水中で施工するコンクリートをいいます。打設方法は主にトレミー工法とコンクリートポンプ工法に分けられます。また水中コンクリートは以下の3つに分類されます。

  1. 一般的な(減水剤を添加した)水中コンクリート
  2. 水中不分離性コンクリート
  3. 場所打ち杭、地中連続壁

一般的な水中コンクリート

水中コンクリートは水中で分離を起こさないように大きな粘性をもたせることが大切です。

静水中に打設することを原則とし、流速は5cm/s以下です。

水セメント比は50%以下単位セメント量は370kg/m3以上とし、細骨材率を40~50%に設定します。

スライムを巻き込むおそれがあるため、トレミー菅の先端は常に2m以上、既に打ったコンクリートに挿入します。

水中不分離性コンクリート

水中不分離性混和剤を使用し、高い粘性を付与し、水中でも分離しないようにしたコンクリートを水中不分離性コンクリートといいます。

施工上の留意点を示します。

  1. 打ち込みは静水中で水中落下高さは50cm以下
  2. 水平移動距離5m以下
  3. 打ち込みはトレミーかコンクリートポンプで圧送圧力は通常の2~3倍かつ打ち込み速度が1/2~1/3倍
  4. 空気量は4%以下
  5. 流動性はスランプフローで管理
  6. 粗骨材の最大寸法は40cm以下で部材最小寸法の1/5、鉄筋最小あきの1/2以下
  7. ミキサーは強制練りミキサで1バッチ量は公称容量の80%以下

場所打ち杭、地中連続壁

  1. スランプは18~21cm(示方書)
  2. 水セメント比は55%以下(示方書)
  3. 単位セメント量は350kg/m3以上(示方書)
  4. 粗骨材の最大寸法は25cm以下、鉄筋最小あきの1/2以下
  5. 鉄筋のかぶりは10cm以内(地中連続壁):地中に打ち込むため地盤の凹凸によって厚みが変化するため余裕をもって10cmに設定する
  6. 余盛高さ50cm以上(土木学会)、50~100cm以上(JASS5)

 

高流動コンクリート

材料分離抵抗性を損なうことなく大きな流動性を付与したコンクリートです。

→材料分離抵抗性を維持したまま流動性を付与するので紛大量が多く、粘性が大きくなります。ポンプ圧送時の管内圧力損失が普通コンよりも大きくなります。また練り混ぜ時間も大きくなります。

高流動コンクリートは大きく3つに分類されます。

  1. 紛体系:紛体量を増加することによって材料分離抵抗性を高め高性能AE減水剤を用いて流動性を付与する
  2. 増粘剤系:増粘剤を混和することによって材料分離抵抗性を付与する
  3. 併用系:紛体量の増加と増粘剤の両方を用いて材料分離抵抗性を付与する

自由落下高さの制限

  • 5m以内(土木学会)

自由流動距離の制限

  • 8cm以内
  • 20m以内

★POINT

  • 高流動コンクリートの凝結は、高性能AE減水剤の使用により遅くなる傾向がある
  • ポンプ圧送時の管内圧力損失が普通コンよりも大きくなる
  • 強制練りミキサを用い、練り混ぜ時間も大きくなる

 

流動化コンクリート

流動化剤を用い流動性を付与したコンクリート

★圧縮強度は通常のコンクリートと変わらない★

流動化によるスランプの低下は10cm以下→材料分離防止の観点から

またスランプの保持機能がないことも重要です。そのため流動化させた後は20~30分程度で打設を完了できるよう計画します。

また細骨材率を通常のコンクリートより大きくします(流動化後のスランプ時と同程度の細骨材率とする)→粘性の付与

 

海洋コンクリート

海水の作用を受けるコンクリート(海水中にあるコンクリートや海域に近いコンクリートなど)をいいます。

海洋コンクリートは大きく2つの注意すべきポイントがあります。

  1. 塩化物イオンによる鉄筋の腐食
  2. 硫酸マグネシウムによる体積膨張
  3. 塩化マグネシウムによる多孔質化

◆塩化物イオンによる鉄筋の腐食

干満帯(潮の満ち引きの範囲にある箇所)や飛沫帯(波の波高までの箇所)が海水の供給と酸素供給が積極的に行われる場所のため最も鉄筋腐食を受けやすい

◆硫酸マグネシウム

海水中に存在する硫酸塩がコンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、石こうと水酸化マグネシウムを生成し、その石こうとセメント中のC3Aとが反応してエトリンガイトを生成し体積膨張を引き起こします。

C3A含有量の低い低熱ポルトランドセメントや中庸熱ポルトランドセメントを用いることが有効。

◆塩化マグネシウムによる体積膨張

海水中に存在する塩化マグネシウムは、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して塩化カルシウムになり、コンクリート組織を多孔質にします。

セメントを一部置換した混合セメント(高炉セメント、フライアッシュ)が有効である。

POINT

  • 海上大気中、飛沫帯の最大水セメント比は45%以下(示方書)
  • 鋼材にはエポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる
  • 打ち継ぎ目はなるべく設けない

 

舗装コンクリート

舗装コンクリートのPOINT

  1. 強度は曲げ強度(4.5N/mm2)で管理する
  2. スランプは2.5cm,6.5cmの2種類で硬練り
  3. スランプ2.5cmの運搬はダンプ、6.5cmはアジテータ
  4. 粗骨材の最大寸法は40mm以下
  5. 粗骨材のすりへり減量は35%以下→車両によるすりへりを受けるため
  6. やわらかい石片は5%以下
  7. 舗装コンクリートは現場養生供試体の曲げ強度が配合強度の7割に達するまでは養生する。また強度試験を行わず養生期間を決める場合は早強ポルトランドセメントで7日、普通ポルトランドセメントで14日、中庸熱ポルトランドセメントとフライアッシュセメントで21日養生する規定がある
  8. 凍結融解抵抗性を付与するためAEコンクリートとする

POINT+α

①RCCP(転圧コンクリート舗装)

スランプが0の超硬練りコンクリートで早期交通開放が可能

また単位水量は通常の舗装コンクリートより少ない

②コンシステンシーの判定

舗装コンクリート含め硬練りコンクリートのコンシステンシー判定は振動台式コンシステンシー試験が用いられる

③最大水セメント比

厳しい気候で凍結融解がしばしば繰り返される場合:55%

ときどき凍結融解が起こるとき:60%

 

プレストレストコンクリート

PCとも表記されるプレストレストコンクリート(prestressed concrete)は文字通りあらかじめ圧縮力が加えられたコンクリートをいいます。

コンクリートの特徴として圧縮に強く引張に弱いことが挙げられます。プレストレストコンクリートは緊張材によってあらかじめ圧縮力を与えておくことで積載荷重や自重による引張応力を打ち消すことを目的としています。そのため鉄筋コンクリートで設計が難しくなるような長いスパンの構造物などに適しています。

プレストレスの与え方には2種類あります

  1. プレテンション方式
  2. ポストテンション方式

緊張用鋼材は主に3つに分類されます

  1. PC鋼線
  2. PCより線
  3. 細径異形PC棒鋼

導入されたプレストレスは乾燥収縮やクリープによって時間経過とともに減少していくことに注意します。

プレテンション方式

プレテンション方式とは主にコンクリート製品工場で用いられる工法です。

PC鋼材に反力台を取り付けジャッキで緊張させます。そのうえから鉄筋組立、型枠組立、打設を行います。コンクリートの硬化後にPC鋼線を切断することで、コンクリートの付着力によってコンクリート自体が反力台のようなはたらきをし、プレストレスが導入されます。

ポストテンション方式

ポストテンション方式とは主に現場でプレストレスを導入するときに用いられる工法です。打設の際にコンクリート内部にシース菅をあらかじめ仕込んでおき、コンクリート硬化後にPC鋼材をシース管内に挿入し、ジャッキでPC鋼材を緊張させ、固定具で緊張を保持することでプレストレスが与えられる工法です。

ポストテンション方式に用いられる固定具にはネジ式とくさび式の2種類があり、ネジ式はPC棒鋼に使用され、くさび式はPCより線に使用されます。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました