セメントのJIS規定解説
セメントのJIS規定について解説します。
表の内容を全て記憶することは得策ではありません。この表も抵抗感を少なくするために部分的に省略しています。
出題ポイントを踏まえて、要所を抑えていきたいと思います。
まずは聞き慣れない用語の解説から初めていきます。
①比表面積
早強セメントや超早強セメントのように早期に反応を促進させ硬化させなければならないセメントは比表面積が大きく設定されている
②強熱減量
強熱減量試験による質量の減少率のこと
水、二酸化炭素、有機物分の質量が減少する
セメントは風化(湿気で軽度に水和反応は起こってしまうこと)するとセメントの密度が減るため強熱減量は大きくなる
またセメントの不純物含有量を測ることにも用いられる
③鉱物組成
以前解説したものがあるので、そちらを参照してください!
【コンクリート技士】セメントの種類と組成化合物について徹底解説!
コンクリート技士試験問題 狙い撃ち解説
セメントの品質規定についてコンクリート技士で狙われやすい箇所について解説していきます
①比表面積
ポイント
早強セメントや超早強セメントのように早期に反応を促進させ硬化させなければならないセメントは比表面積の下限値が大きく設定されている
【過去問】
比表面積が大きいほど,水和反応による発熱速度が速くなる→〇
早強ポルトランドセメントでは、普通ポルトランドセメントよりも比表面積が大きく規定されている→〇
②圧縮強さ
ポイント
早強、超早強ポルトランドセメントでは,材齢1日の圧縮強さの下限値が規定されている
低熱ポルトランドセメントでは、材齢91日の圧縮強さの下限値が規定されている
【過去問】
材齢28日の圧縮強さの下限値は,低熱ポルトランドセメントより普通ポルトランドセメントの方が大きい→〇
早強ポルトランドセメントでは,材齢1日の圧縮強さの下限値が規定されている→〇
③水和熱
ポイント
高炉セメント、フライアッシュセメントでは水和熱の上限値は規定されていない
高炉セメント、フライアッシュセメントはポルトランドセメントをある量で置換したセメントであり、水和熱は普通ポルトランドセメントより低くなることから規定がない
低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントでは水和熱の上限値が規定されている
【過去問】
中庸熱ポルトランドセメントでは,水和熱の上限値が規定されている→〇
材齢28日の水和熱の上限値は,低熱ポルトランドセメントより中庸熱ポルトランドセメントの方が大きい→〇
④全アルカリ量、塩化物イオン量
ポイント
すべてのポルトランドセメントの全アルカリは0.75%以下と上限値が規定されている
高炉セメント、フライアッシュセメントはポルトランドセメントをある量で置換したセメントであり、ポルトランドセメントで全アルカリ量と塩化物イオン量を規定しているので、高炉セメント、フライアッシュセメントとしては全アルカリ量と塩化物イオン量を規定していない
【過去問】
すべてのポルトランドセメントでは,全アルカリ量の上限値が規定されている→〇
⑤鉱物組成
ポイント
中庸熱ポルトランドセメントでは、水和熱抑制のためC3SとC3Aの上限値が規定されている
低熱ポルトランドセメントでは、水和熱抑制のため水和熱の小さいC2Sの下限値と水和熱の大きいC3Aの上限値が規定されている
対硫酸塩ポルトランドセメントでは、化学抵抗性の小さいC3Aの上限値が規定されている
【過去問】
低熱ポルトランドセメントでは,けい酸ニカルシウム(C2S)の上限値が規定されている
→× 下限値を規定している。
中庸熱ポルトランドセメントでは,けい酸三カルシウム(C3S)の下限値が規定されている
→× 上限値を規定している。
上限値と下限値といった表現に気を付ける。
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