【コンクリート技士】セメントの種類と組成化合物について徹底解説!

コンクリート構成材料

セメントの種類

コンクリートは構造物の要求性能を満たすために材料を適切に選定しなければなりません。

特にセメントはコンクリートの性能への影響が最も大きい材料です。

代表的なセメントの種類を列挙すると以下の通りです。

セメント名称 種類
ポルトランドセメント 普通
早強
超早強
中庸熱
低熱
耐硫酸塩
高炉セメント A種(置換率5%~30%)
B種(置換率30%~60%)
C種(置換率60%~70%)
シリカセメント A種(置換率5%~10%)
B種(置換率10%~20%)
C種(置換率20%~30%)
フライアッシュセメント A種(置換率5%~10%)
B種(置換率10%~20%)
C種(置換率20%~30%)
エコセメント 普通エコセメント
速硬エコセメント

各セメント種類と用途について

■ポルトランドセメント

  1. 普通:最も一般的に用いられる
  2. 早強:工期短縮や工場製品に用いられる
  3. 超早強:緊急工事などに用いられる
  4. 中庸熱:水和熱が抑制されるため、ダムなどのマスコンクリートに用いられる
  5. 低熱:中庸熱よりも水和熱が抑制できるため、マスコンや高強度、高流動コンに用いられる
  6. 耐硫酸塩:硫酸塩を含む土壌等で用いられる

■高炉セメント

製鉄所の高炉から排出されたスラグを冷却し微粒紛にした高炉スラグ微粉末を混合材に用いたセメント

現在用いられているほとんどがB種である

長期強度増加やアルカリ骨材反応の抑制、塩化物イオン侵入抑制、水和熱の抑制が期待できる

■シリカセメント

シリコン等の製造時に出る副産物であるシリカフューム(超微粒子)を混合材に用いたセメント

微粒子がセメント粒子間に食い込むことで緻密なコンクリートとなり、高い水密性や耐久性を得ることができる。またポゾラン反応により長期強度増加にも寄与する

■フライアッシュセメント

石炭火力発電の副産物であるガラス質で球状のフライアッシュを混合材に用いたセメント

球状→流動性の向上

ポゾラン反応による長期強度増加やアルカリ骨材反応抑制が期待できる

pH低下により中性化抵抗性が低くなってしまうことに注意

■エコセメント

ごみ焼却施設で発生する燃焼灰や汚泥などを使用したセメント

道路用製品などに用いられる

セメントの組成化合物

各種セメントの特徴を表す主要4鉱物

  • C3S(ケイ酸三カルシウム エーライト
  • C2S(ケイ酸二カルシウム ビーライト
  • C3A(アルミン酸三カルシウム アルミネート相
  • C4AF(鉄アルミン酸四カルシウム フェライト相

これらの鉱物の含有量を調整することで特徴の行ったセメントを製造することが出来る

C3S(エーライト) C2S(ビーライト) C3A(アルミネート相) C4AF(フェライト相)
短期強度発現 中~大
長期強度発現 中~大
水和熱 中~大 大~極大 小~中
化学抵抗性

 

POINT

①超早強、早強ポルトランドセメントほど短期強度発現が大きいC3S(エーライト)の含有率が高い

②中庸熱、低熱ポルトランドセメントほど水和熱が低いC2S(ビーライト)の含有率が高い

各セメントと組成化合物との関係図

※水和熱が大きいと、温度ひび割れの原因になる

POINT

①中庸熱ポルトランドセメントでは、水和熱抑制のためC3SとC3Aの上限値が規定されている

②低熱ポルトランドセメントでは、水和熱抑制のため水和熱の小さいC2Sの下限値と水和熱の大きいC3Aの上限値が規定されている

③対硫酸塩ポルトランドセメントでは、化学抵抗性の小さいC3Aの上限値が規定されている

 

 

 

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