【コンクリート技士】コンクリートの性質について徹底解説!★フレッシュコンクリート編★

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コンクリートの性質★フレッシュコンクリート編★

フレッシュコンクリートの基本的な知識

フレッシュコンクリートとは、硬化前のコンクリートのことで、作業に適した流動性と均質性を持たせることが大切です。フレッシュコンクリートの性能は、ワーカビリティ、コンシステンシー、プラスティシティ、ポンパビリティなどの要素によって決まります。またコンクリートの材料や配合、施工方法などによって変化します。フレッシュコンクリートの性能を適切に管理することは、硬化後のコンクリートの品質や耐久性にも影響します。

フレッシュコンクリートの性能を評価する5つの用語

ワーカビリティ(workability)

フレッシュコンクリートのワーカビリティとは、コンクリートの運搬、打込み、締固め、仕上げなどの作業に関する作業性の良さを表す性質です。コンクリートの変形や流動に対する抵抗性(コンシステンシー)と材料分離に対する抵抗性の程度によって決まります。ワーカビリティが良いとは、コンクリートが作業に適した流動性と均質性を持つということです。フレッシュコンクリートの性質を評価する要素のうち最も包括的な用語です。

コンシステンシー(consistency)

フレッシュコンクリートのコンシステンシーとは、コンクリートが変形や流動に対してどれだけ抵抗するかを表す性質です。コンシステンシーが大きいと、コンクリートは硬くて作業しにくくなります。コンシステンシーが小さいと、コンクリートは柔らかくて作業しやすくなりますが、材料分離のリスクが高まります。コンシステンシーを測定する方法には、スランプ試験、フロー試験、球貫入試験などがあります。

プラスティシティー(plasticity)

コンクリートのプラスティシティーとは、フレッシュコンクリートの性質の一つで、容易に型に詰めることができ、型を取り去るとゆっくりと形を変えるが、崩れたり材料が分離したりしないような性質のことです。プラスティシティーは、コンクリートの単位セメント量やコンシステンシー(変形や流動に対する抵抗性)に影響されます。プラスティシティーが高いコンクリートは、施工性や仕上げ性が良いと言われます。

フィニッシャビリティー(finishability)

コンクリートのフィニッシャビリティーとは、コンクリートの打ち上がり面を要求された平滑さに仕上げる場合の作業性の難易の程度を示すフレッシュコンクリートの性質です。フィニッシャビリティーは、粗骨材の最大寸法、細骨材率、骨材の粒度、コンシステンシーなどによって決まります。フィニッシャビリティーが高いと、仕上げやすく、平滑で美しいコンクリート面を作ることができます。

ポンパビリティー(pumpability)

コンクリートのポンパビリティーとは、コンクリートをポンプで圧送する際に、輸送管がコンクリートで閉塞することなく、低圧力で大量のコンクリートを輸送することができるコンクリートの性能のことです。ポンパビリティーは、コンクリートの流動性、変形性、分離抵抗性の3つの性能で構成されます。ポンパビリティーが高いと、コンクリートの施工性や品質が向上します。

コンクリートのスランプについて

スランプとは

コンクリートのスランプとは、生コンクリートの流動性を測定するための試験です。スランプコーンという筒にコンクリートを詰めて外したときに、どれだけ下がるかをスランプ値として表します。スランプ値が高いほど、コンクリートは柔らかく流動性が高いと言えます。スランプ値は、コンクリートの品質や施工性に影響する重要な指標です。

コンクリートのスランプ値の基準や許容差は、JIS A5308で定められています。一般的には、15cmから18cmの範囲が適正とされています。スランプ値が低すぎると、コンクリートが硬くて打設しにくくなります。逆に、スランプ値が高すぎると、コンクリートが水っぽくて分離や空洞が起こりやすくなります。スランプ値は、コンクリートの配合や水量によって変化します。強いコンクリートを作るには、水とセメントの比率を小さくすることが必要です。

スランプ試験について

コンクリートのスランプ試験の方法は、以下のように行います。

①スランプコーンを平らな平板の上に置く
②コンクリートを同じ量で3層に分けて詰める
③各層ごとにつき棒でならした後、25回ずつ同じように突く
④3層とも突き終わったら、すぐに静かにスランプコーンをまっすぐ上に引き上げる
⑤残ったコンクリートの中央の高さを測定する(0.5cm単位)

★スランプ試験の測定後に平板の端部を軽くたたいて一定の範囲に広がるまでのコンクリートの変形状況を観察することで材料分離抵抗性の目安になる

★超頻出★同一スランプを得るための配合補正

細骨材率の考え方

細骨材率とは細骨材と粗骨材合わせた全骨材容積のうち細骨材容積の割合を表します。また細骨材率は所要のワーカビリティーが得られる範囲で単位水量を少なくするように試験によって定めます。

細骨材率は流動性と粘性のバランスを調整する役割を担っています。細骨材率を増やせば粘性が増し、ワーカビリティが改善しますが必要な単位水量が増えます。一方で細骨材率を減らせば粘性は減少し単位水量も減少します。

単位水量の補正問題

①最大寸法の大きい粗骨材を使用することになったので、単位水量を【大きく/小さく】した

最大寸法の大きい粗骨材を使用することで実積率が上がり、骨材間のモルタル分が少なくなるため粘性が減少しスランプは増加する。

同一のスランプを得るためにはスランプを減少させる補正をする必要がある。

→単位水量を小さくし、粘性を付与する。

よって最大寸法の大きい粗骨材を使用することになったので、単位水量を小さくする。

②実積率の小さい粗骨材を用いることになったので、単位水量を【大きく/小さく】した

実積率の小さい粗骨材を使用すると、骨材間のモルタル分が増加し粘性が増加するのでスランプは減少する。

同一のスランプを得るためにはスランプを増加させる補正をする必要がある。

→単位水量を大きくし、粘性を減少させる。

よって実積率の小さい粗骨材を用いることになったとき、単位水量を大きくする

③微粒紛量の多い細骨材を用いることになったので、単位水量を【大きく/小さく】した

微粒分を多く含む細骨材を使用すると粘性が増加するのでスランプは減少する。

同一のスランプを得るためにはスランプを増加させる補正をする必要がある。

→単位水量を大きくし、粘性を減少させる。

よって微粒紛量の多い細骨材を用いることになったのでとき、単位水量を大きくする。

④粗粒率の小さい細骨材を用いることになったので、単位水量を【大きく/小さく】した

粗粒率の小さい細骨材を使用するので粘性が増加しスランプは減少する。

同一のスランプを得るためにはスランプを増加させる補正をする必要がある。

→単位水量を大きくし、粘性を減少させる。

よって粗粒率の小さい細骨材を用いることになったとき、単位水量を大きくする。

コンクリートの材料分離とブリーディングについて

コンクリートの材料分離とは

コンクリートの材料分離とは、フレッシュコンクリートの構成材料の分布が不均一になる現象です。この現象が生じると、コンクリートの一部に粗骨材が局部的に集中し、豆板(じゃんか)などの欠陥部ができることがあります。

コンクリートのブリーディングについて

コンクリートのブリーディングとは、コンクリートを打設した後に、コンクリートの表面に水が浮き上がる現象です。コンクリートは、セメント、細骨材、粗骨材、水で構成されています。水よりセメントや骨材の方が密度が大きいため、比重が小さい水は表面に上昇しセメント・骨材は下降することでブリーディングが起こります。ブリーディングによって生じたブリーディング水が原因で、ひび割れなどが発生することがあります。ブリーディングを抑えるためには、コンクリートの配合設計や施工方法を適切に行うことが重要です。

材料分離とブリーディングの違いについては、材料分離現象の中の1つとしてブリーディングがあるといったイメージです。

材料分離(segregation)とは、運搬中、打込み中または打込み後において、フレッシュコンクリートの構成材料の分布が不均一となる現象、すなわち(1)粗骨材が局部的に集中したり、(2)水分が時間とともにコンクリート上面に向かって上昇する現象(ブリーディング、bleeding)をいう。前者は主に運搬・打込み中に生じ、後者は打込み後に生ずる。

材料分離は、コンクリートが数pmから20ないし40 mmまでの粒径を有する固体と液体の混合物であり、さらにそれらの成分の密度がそれぞれ1.0~3.15 g/cm3と大幅に相違していることに起因している。

引用:日本コンクリート工学会(公益社団法人 日本コンクリート工学会 (jci-net.or.jp)

片隅に入れておきたい用語:加圧ブリーディング試験

試験方法は、フレッシュコンクリートを円筒形の容器に入れ、一定時間加圧した後、ブリーディング水を吸い取り、その重量を測定することで行われます。加圧ブリーディング試験は、コンクリートのポンプ圧送性を評価する試験であり、コンクリートの品質に影響を与える材料分離やブリーディングなどの現象を評価することができます。

コンクリートに連行される空気

コンクリートには、セメント、水、骨材、混和材料と空気が含まれています。コンクリート中の空気には、「エントレインドエア」「エントラップトエア」と呼ばれるものがあります。

エントレインドエアは、AE剤やAE減水剤などの混和剤によってコンクリート中に生成される微細で独立し、均一に分散した空気泡のことを言います。連行空気とも呼ばれ、ほぼ球形をしており、気泡径は25~250μm程度で、AE剤やAE減水剤などの混和剤の種類によって異なります。 エントレインドエアは、耐凍害性やワーカビリティーの向上に顕著な効果があります。

一方、エントラップトエアは、混和剤を用いなくても、コンクリートの練混ぜ中に自然に取り込まれる気泡で、通常のコンクリートには0.5~3%程度存在すると言われています。気泡径が比較的大きくまた不定形であるため、耐凍害性やワーカビリティーの改善に寄与する効果は期待できません。

エントレインドエアがコンクリートに及ぼす作用

エントレインドエアは、耐凍害性やワーカビリティーの向上に顕著な効果があります。 凍害に対しては、水が氷になるときに膨張してコンクリートにダメージを与えるのを、微細な空気の部分で吸収してあげることによって抵抗してくれます。また、ワーカビリティーに関しては、フレッシュコンクリートの時に水分を保持する働きによるもので、材料分離を起こりにくくしたり、ブリーディングを減少させる効果もあります。これらの効果は、気泡が小さく、気泡の間隔が小さいほど大きくなります。

空気量に及ぼす要因

コンクリートに連行される空気量には、粉末度、粘性、温度、細骨材の粒度などの要因が影響します。粉末度が高くなると、AE剤による空気連行性が低下し、空気量が減少します。また、細骨材が0.3~0.6mmの粒径の部分が多いと空気泡は連行されやすく、0.15mm以下の微粒分が多くなると空気泡は連行されにくくなります。粘性が大きくなると、AE剤による空気連行性が小さくなるため、空気量は減少します。 コンクリートの温度が高くなると、凝結が早まり、コンクリートの粘性が増します。 粘性が増すことでコンクリートの空気泡が連行されにくくなり、空気量が減少します。以上の要因を考慮して、適正な空気量を確保することが重要です。

またセメントの一部をフライアッシュで置換したとき、フライアッシュの未燃焼炭素量が多い場合、AE剤や減水剤が未燃焼炭素に吸着され、その効果が少なくなることがあります。

コンクリートの凝結時間

コンクリートの凝結時間とは、コンクリートが硬化するまでの時間のことです。一般的に、構造部材として機能するためには28日の硬化時間が必要です。 凝結時間には、温度、スランプ、W/C、化学混和剤などの要因が影響します。凝結時間をコントロールするためには、スランプと化学混和剤の種類を適切に選ぶことが重要です。また、コンクリートの凝結試験には、貫入針を用いてコンクリートの凝結時間を試験する方法があります。

コンクリートの凝結試験

コンクリートの凝結試験には、貫入針を用いた貫入抵抗試験があります。この試験では、貫入針をコンクリートに貫入させ、貫入抵抗値を測定することで、コンクリートの凝結時間を評価します。

試験に用いる試料は、採取したコンクリート試料を公称目開き4.75 mmの網ふるいでふるい、粗骨材を除去したモルタル分とすると規定されています。

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